(49)ロード乗りだがサイクルジャージを着ない俺が、サイクルジャージを着るまで-1

クロスバイクを買い、自転車にはまり、ロードバイクに乗り出してからも、俺は普段着のジャージでサイクリングしていた。
サイクルジャージを着ない理由としては、「持っていないから」、「買っていないから」なのだが、別に金が一銭も無かったというわけではない。
車体を買ってから、ライトやらグローブやら揃えないといけない物の中で、サイクルジャージの優先順位を下げていたからだ。
その優位性を知らない当時の俺は、「普段着のジャージで充分」と考えていた。

あれは俺が27、8歳の頃だったと思う。
風邪をひき、熱をだした状態で仕事に取り組んでいたところ、まわりの同僚から見ても俺の具合は悪かったらしく、上司から「今日は帰っていい」と言われる。
「はい、わかりました」と俺は職場を出て、まっすぐ帰るように見せかけておいて、帰り道、少し遠回りをしてダイエーに寄る。
普段、終バスの時間まで働くのが当たり前の日常だ。
土日も休めるかどうかわからない。
だからこそ、隙あらば酒を飲む。
本当は飲み屋に寄りたかったが、可能性が低いとはいえ、職場の誰かに見つかると具合が悪い。
ここは我慢して、ダイエーで酒とつまみを買って帰ることにした。

体はだるいが、時間に余裕があり、そのおかけで気持ちにも余裕ができ、ダイエーの中をうろつく。
スポーツ用品店の前で、考えた。
「今のプロジェクトが終われば、しばらく休めるはず。体を動かす機会が少ない仕事なので、何かタイミングを見つけてジョギングをしたい」。
俺は、ジャージを見にお店に入る。
見た感じ、安そうなジャージのパンツが売ってたので、「これでええわ」と買ったのが、asics。
紺色の冴えないデザインだ(それが、またいい)。
このジャージは、5年近く、寝る時もたまにジョギングする時も俺のために働いてくれたが、膝が破けてしまい、お亡くなりになった。

その後、職場を変え、環境が変わり、時間に余裕ができた。
基本、職場では率先して力仕事もしていたのだが、そんな時に1枚のチラシが俺の家に配布された。
近所のショッピングモールに入ってるスポーツ用品店のものだ。
「adidasジャージ○○%OFF」と記載されていて、なかなか魅力的ではないか。
ただ残念なことに、写真を見ると、俺の感性ではいまいちなデザイン。
俺は、「ジャージなんて変にデザイン性が高くなくていい。中学の体操服程度のデザインこそ格好いい」と思う。
写真のジャージは「ナシ」だ。
この、妙に近未来的で格好つけてるデザインのジャージは、「ナシ」なんだ。
ただ、「OFF」という言葉に魂が揺さぶられる。
「一度、店舗に実物を見に行ってみよう」と思った時点で買うことが決定されたようなもので、結局、安くて俺の趣味にあわないジャージを買ってしまった。

ベースが紺色で、水色のラインが入ったadidasのジャージ。
ラインが白なら文句無しだが、安いので文句は言えない。
職場で力仕事がある日に、それを着て行った。

※この記事は、2019年2月13日、俺が別のブログに投稿した文章を、加筆、修正したものです。

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