(50)ロード乗りだがサイクルジャージを着ない俺が、サイクルジャージを着るまで-2

コーナンで事務机と椅子を買い、台車に乗せて事務所まで運ぶ。
それらを組み立ててから、そこそこ量がある段ボールを紐でくくりつけ、担いで階段を降り、ごみ捨て場へ持って行く。
今までと違い、ジャージだと動きやすくて作業がはかどった。

その後も力仕事がある日はジャージで出勤していたが、力仕事がなくてもジャージで出勤するようになった。
もともとこのジャージに対して、「だっさ」と感じていたが、着ているうちにデザインについて気にならなくなってきた。
またしばらくすると、「気にならない」ではなく、「むしろ格好いい」と思うまでになった。

近所の飲み屋に行くのも、大阪の難波や梅田の繁華街で買い物するのもadidasのジャージ。
週に5日ペースで着ていたと思う(残りの2日で洗濯)。
今思うと、まわりの人は俺に対して「他に服持って無いんか?」と思っていたのかも知れない。

「このジャージを着ている俺は格好いい」と自惚れる日々が、突然終わりを告げる。
いつものようにジャージを着て通勤する俺。
いつものように登校中の小学生集団とすれ違う。
その中に見慣れたジャージがある。
小学校4年生か5年生ぐらいのひょろっとした男の子が、俺と同じジャージを着ているではないか。
同じジャージを着る者同士がすれ違う瞬間、特に何も起こらなかったわけだが、俺の中に「本当に俺はこれでいいのか?」という気持ちが芽生える。
彼の家にも、俺と同じスポーツ用品店のチラシが配布され、それを見た彼の母親が「○○%OFF!安い!」と、俺と同じ発想で同じジャージを購入し、息子に与えたのか。
または、「このジャージ、格好いい!」と彼自身がこのジャージを選択したのかはわからない。
ただ、いずれにしても、小学生と同じ服を着て、天下を取った気分の俺は、どこかおかしいのではないか?
そう考えるようになった。

結果、スポーツをしている時以外は封印することになる。
クロスバイクを買い、それに乗って近くのサイクリングロードを走ったり、遠出する時は、当然、adidasのジャージを着た。
ロードバイクを買ってからも、現役として活躍した。
夏になり、汗を大量にかく日々が続き、ジャージを洗濯する頻度も高くなったある日、股の部分が破れていることに気付く。
足を回す度に太ももとサドルが擦れ、5cmほどの穴が開いている。
「さすがにこれはみっともない」と思い、長く活躍してくれたことに対する感謝を込めて、ゴミ袋に放り込んだ。

その後、ネットで激安ジャージを発見する。
最初に俺が望んでいた、紺に白の三本ライン。
このジャージも活躍してくれた。
俺がサイクルジャージを着るまで、もうしばらくかかる。

※この記事は、2019年2月13日、俺が別のブログに投稿した文章を、加筆、修正したものです。

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