(314)ブレーキを修理してもらう-2

翌朝になり、ベランダから顔を出すと、雨は止んでいた。
「おぉ。今日こそブレーキ直してもらえるわ」。
俺には「走って行きたい場所リスト」があり、今週末から消化していく(予定)。
そのためには、なるべく早くブレーキを直したい。

仕事が終わり、足早に家へ戻る。
そして、ロードバイクを担いでマンションの1階に降り、ハンドルに手を掛けて歩き出す。
向かう先は、店舗B。
前回の記事にも書いたが、なるべく家から近い距離にあり、且つ持ち込み修理OKな店は2軒。
店舗Aと店舗B。
店舗Aはいつ開いているかわからない店なので、HPに営業日と営業時間が明記されている店舗Bに向かったのだが…。

「閉まってるやんけ…」。
店のHPで地図を確認すると、場所は合っている。
店のHPで営業カレンダーと営業時間を確認すると、今、開いているはずだ。
が、閉まっている。
店の入口にも、同じ営業カレンダーが貼られているが、やっぱり閉まっている。
「はぁ?」。
ちょっとむかついたが、「縁が無かったんや」と自分を納得させた。

さて、どうしたものか。
このまま家に帰り、焼酎を飲んで寝る。
そんな一歩も前進しない1日を、今日も過ごすのか?
「走って行きたい場所リスト」の消化はどうするのか?
自問自答を繰り返しながらロードを押して歩いていると、「あるわ!確か、すぐ近くに修理専門の店があるわ!」。
以前、この辺りを走っていて、看板を目にした気がする。
ママチャリの修理を専門にしている店かも知れないが、「とりあえず、行くだけ行ってみよう」。

いい加減な記憶を頼りに歩くと、あることはあった。
入口のドアを開け、手前に作業場。
誰もいない。
「すみませ~ん」と声を掛けると、パーティションの裏から柔らかな表情のおっちゃんが顔を出した。
「すみません。ちょっと見てもらいたいんですが、こういうタイプの自転車も修理してもらえますか?左ブレーキの効きが悪いんです」。
「はぁはぁ、ちょっと見てみよか」。
「以前転倒しまして、それが原因かなと思いまして」。
「はぁ、これな。うん、これな。ケーブルやな」。
原因がわかったので、このまま直してもらえると思いきや、「これはなぁ、買ったお店で見てもらったらええわ」。
「いや~、その、買った店はちょっと遠いので」。
「あら、そう」と、また俺のロードを触りつつ、ブレーキ周辺をチェックするおっちゃん。
1分後、「そやなぁ。これは、買ったお店で見てもらったらええわ」。
俺は「はい、わかりました」と言い、頭を下げて店を出た。
それにしても、一瞬「いける!」と思わせるトークは勘弁してほしい。

「仕方がない。ちょっと歩くけど、あそこしか無いわ」。
ロードを押しながら20分~30分歩くのは苦痛だが、サイクルベースあさひに行くことを決めた。
かなり前だが、「あさひでクロスバイクを修理してもらった」と知り合いから聞いた気がする。
念のため、スマートフォンで調べてみたところ、作業工賃表にはロードバイクについても記載されているではないか。
「耐えた…」。

引戸を開け、入店。
近くにいたスタッフに「修理をお願いしたいのですが」と声を掛ける。
「こちらにどうぞ」。
案内されて進むと、ちょっと貫禄ある職人らしきおっちゃんが、ママチャリの修理をしていた。
「すみません」。
「はい」。
ブレーキの効きが悪いこと、それは転倒したことが切っ掛けなのかも知れないことを伝える(この日、2回目)。
「わかりました。対応します」。
ついにきた。
待っていた言葉。
俺は小さくガッツポーズ。
「ただ、他の作業もしているので、今すぐ対応できません」。
「え?」と思いながら、「いつなら可能ですか?」。
「1時間後ぐらいに電話しますので、その後、またご来店下さい。修理してお渡しします」。
心底ほっとした。
今日中に乗れる状態になるのだ。
「やっとかぁ」。
他のスタッフに電話番号を伝え、店を出た。

のはいいが、1時間、何をして時間を潰すかで悩む。
近くにある牛丼屋やカツ丼屋で1時間ねばる自信は無い。
仕方がないので、ファミレスを選択。
ゆっくりできそうで良い。
ただ、ひとり旅もひとり焼肉も余裕の俺だが、ひとりファミレスはあまり経験が無い。
少し尻込みしながら入店すると、4人掛けテーブルに案内された。
テーブルを広々と使えるので居心地はいいが、周りの目が気になる。
不幸なことに、俺が座ったテーブルはレジに近く、人の出入りがそこそこあるため、他人の視線を感じてしまう(勝手に)。
「人は人。俺は俺。気にしてはならない」と自分を鼓舞し、耐えていると、あさひから電話がかかってきた。

あさひに飛んで行った。
「点検が終わりました。左ブレーキの修理もしました。あと、右ブレーキも甘かったので、その修理もしています」。
「ありがとうございます」。
料金を払って店を出る。

歩きながらブレーキを引いてみると、しっかり効いてくれた。
これで、やっと安心して走れる。
週末から、「走って行きたい場所リスト」を消化していきます。

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