(53)さよなら、Continental GRANDPRIX4000SⅡ。野間のオオケヤキライド-3

川西池田まで進んだ。
目的地、野間のオオケヤキまで、約半分の距離を走ったわけだ。
駅周辺におにぎり専門店を発見し、「次来る時は、ここで昼飯を買おう」とのんきなことを考えていた。
駄目だ。
本当は、そんなのんきなことを考えている場合じゃない。
何か大きな忘れ物がある。
それを思い出さないといけない。

北に向けて走ると、徐々に緑が多くなり、遠出気分を味わう。
「一の鳥居の交差点を右へとちょっくら曲がって」と、ここまで足に余裕があったが、急に登り下りが始まり、気を引き締めた。
右へ左へとくねくね曲がる山道をゆっくりと進み、目の前に長い坂道が現れる。
なかなかの絶望感を覚えた。
軽いギアでクルクル回し、坂道の先にあるセブンイレブンに辿り着いた。
店内に飛び込み、水を買い、一気に飲み干す。
気付けば、かなりの汗をかいている。
「登りはここまでか」とほっとして前方を見ると、信号の向こうにも山道がある。
めまいがしそうだ。

ゴールの手前まで来ているのに、諦めて帰るのも気にくわない。
もうひとふんばりして、なんとか登りきった。
そして、下りに入り、少し進むと、野間のオオケヤキ。
確かに大きなけやきの木だが、疲れ果てた俺にはゆっくりと観察する余裕がなく、それは次回にとっておくことに。

ダムが見える綺麗な景色を見ながら帰りたい。
汗がひいてから、往路とは別のルートで帰ることにした。
サドルにまたがり、走り出すと、すぐそこには、「ここは本当に大阪か?」と目を疑いたくなるような田舎の景色。
川や田畑に夕日が差し込み、俺はノスタルジックな気分に浸りながらクランクを回すと、進入禁止の立て看板が現れた。
最近の台風だか大雨の被害で、この先の道が陥没しているとのこと。
親切に、迂回路についての説明も記されているが、その迂回路が登りのようなので、引き返すことにした。
俺は登りが嫌いなんだ。

再度、オオケヤキの前を通過した。
一度停止し、ガードレールにロードバイクを立てかけ、俺は水を飲もうとする。
ボトルケージからボトルを取り出す時、タイヤが目に入り、重大なことを思い出した。
必死に山道を登り、景色を堪能しているうちに、「何か忘れていることがある」と、考えること自体を忘れていたが、今頃思い出した。
傷んだタイヤを外し、買ったばかりの新しいタイヤに交換していない。
中の繊維が露出した、いつパンクしてもおかしくないタイヤを履いて、俺は野間のオオケヤキに向かったんだ。
迂闊すぎる。
幸運にもここまではパンクせず走ることができたが、これからの保証はない。
俺は天を仰いだ。

※この記事は、2019年2月15日、俺が別のブログに投稿した文章を、加筆、修正したものです。

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