(60)パピヨン危機一髪!犬好きの俺がロードバイクで犬をひきかけた話-3

普段走るサイクリングロードは、山から吹き下りる風の影響なのか、山側に向かって走れば走るほど向かい風が強くなる。
必死でペダルを踏んでいるつもりなのに、スピードがのらない。
その日は、たまたま風が弱く、珍しく走りやすい日だった。

山側の道は広く、周りは芝生なので見晴らしがよい。
木や成人の腰の高さまで伸びている草が密集している箇所は、事故を想定して、どうしても神経質になる。
逆に、見晴らしがいい箇所は、トリッキーな動きをする小さい子が、急にアスファルトの道に飛び出してきた時、こちらとしては事前に停止する準備ができる。
そういう点で良い環境である。

山側の道にさしかかった。
右手に広い芝生。
左手に土手と芝生があり、四角い生垣がつらなっている箇所が一部ある。
その生垣も、子供の背丈より低いので、さほど神経質にならずクランクをまわした。

生垣の横を走る。
向かい風も無く、まわりに人がいない。
ペダルをガンガン踏み出して、すぐのことだった。

生垣と生垣の間に30cmほどの隙間があり、そこから小さな犬が飛び出してきたのだ。
一瞬、10年前にあの世にいったうちの犬かと思う。
白と黒のブチがそっくりだった。
驚いたのは俺も犬も一緒で、犬は勢い良く飛び出したのが裏目にでたのか、進行方向を変えれない。
よけること、逃げることを諦めたのか、道の上で仰向けになった。
「このままでは、犬の腹の上を走ることになる」。
それを回避しようとハンドルを左にきり、俺はロードバイクごと生垣に突っ込んだ。
お互い、一瞬の判断だった。

犬をひかずにすんだ。
生垣に突っ込み、細かい枝が突き刺さって手が血まみれになった俺は、ほっとしながらも興奮が続く。
犬は犬で、興奮状態。
俺にむかって吠えまくっていた。
事故を回避して吠えられても…と、やるせない気分になるが、犬は無事でよかった。

飼い主のおばちゃんが小走りに近付いてくる。
興奮状態の犬を抱きながら、俺に謝りまくる。
どうも、芝生の方で、顔見知りの飼い主と犬のコミュニティがあり、「先に挨拶しておいで」という意味で、犬のロープを離したそうだ。
犬は仲間のところへ向かおうと一目散に走り、そこで俺にひかれかけた。
俺としても、子供の飛び出しには注意していたが、さすがに犬は想定していなかった。
反省しなくてはいけない。

謝りたおすおばちゃんに、「彼もびっくりしたと思うので、後で優しくして、落ち着かせてあげて下さいね」と言って、その場を去る。
おばちゃんに抱かれた犬は、相変わらず俺に吠えまくっていたが、もういい。
その犬はパピヨンで、俺が飼っていた犬の耳を立てた感じ。
かわいい顔をしていた。

※この記事は、2019年2月21日、俺が別のブログに投稿した文章を、加筆、修正したものです。

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