(61)パピヨン危機一髪!犬好きの俺がロードバイクで犬をひきかけた話-4

死を覚悟をし、興奮状態で吠えまくるパピヨンと、飼い主のおばちゃんに別れを告げ、俺は、家に向かってサイクリングロードを走る。
犬同様、俺は俺で興奮状態になっていたので、なるべく早く家に帰って落ち着きたいと思った。

手が痛い。
半袖のTシャツを着ていたため、生垣に突っ込んだ時、もろに枝が手に突き刺さった。
ドクドクと血がながれている感覚も、ハンドルを握った手にはある。

走りながらも考えていた。
俺が飼っていたシーズーと、ひきそうになったパピヨンがよく似ていたなと。
耳が立っているか、垂れているかぐらいの違いだなと。
ロードバイクでうちのシーズーをひくなんて、想像しただけでも怖いものがある。
俺は怪我をしたけど、犬だけは無傷でよかった。
また、今までは子供の飛び出しには気を配っていたが、犬に対しても注意が必要だ。
ロードに乗る時は、いつも、自分なりに慎重になっていたつもりだが、今まで迂闊だったようだ。
そう思いながら、サイクリングロードの脇にある坂を上がり、車道に出た。

家までの短い距離の中、小刻みに信号がある。
赤信号で停止して、青になるまで待つ間、やたらと歩行者の視線を感じるではないか。
ちょうど夏の時期で、汗をかきまくり、体重が激減していたので、「俺も国民的アイドルに一歩近付いたか。この視線の意味は」とのんきに受け止めていた。

家に着く。
当時、サイクルジャージではなく、普通のTシャツで走っていた俺は、汗でベタベタするTシャツを洗濯機に放り込もうとした。
その時、白いTシャツが、赤に染まっていることに気付く。
「前傾姿勢をとる時に、手の血がTシャツについてもうたんやな」ぐらいに考え、洗濯したが、先ほどの人々の視線は、血まみれTシャツを着ている狂ったやつへの視線と理解した。
俺は、ふて寝した。

数日経っても、ひきそうになったパピヨンが気がかりで、サイクリングロードを走る度にその姿を探した。
俺のせいで精神的ダメージを受け、散歩に行けなくなったとか、具合が悪くなってしまっていたら、後味が悪い。
とりあえず、「あの犬を見かけないのは、俺が毎日同じ時間に走っていないように、向こうも同じ時間に散歩しているわけではないのだろう」と思うようにした。
その後、確か1ヶ月ほど経ってから、やっと見かける。
俺と接触しそうになった生垣の裏を、飼い主のおばちゃんと元気そうに歩いていた。
セーフ。
ほんの一瞬、その後ろ姿を見た程度だが、やっと肩の荷が下りた。

※この記事は、2019年2月21日、俺が別のブログに投稿した文章を、加筆、修正したものです。

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