(356)BianchiのBERGAMOを買うBさん-4

「初めてロードバイクを買う人と、買う現場に立ち会えるのは、自分にとってもなかなか有意義なものだ」。
最初はそう考えていた俺だが、Bさんに遅刻され、あっちの店に行きこっちの店に行き、また最初の店に戻る展開に疲れてきた。
また、店員さんにいらん絡みをして時間を浪費するのも困る。
「Bさん、無駄話はええから、はよ買えよ」と思う。

サイクルベースあさひ臨港西宮店に着いた。
本日2回目のご来店。
2階のスポーツバイク売場で、BianchiのBERGAMOがあることを再び確認し、「値札にはサイズ500って書いてますけど、これにしましょうよ」とBさんに伝えた。
「はよ買ってくれ」という思いを込めて。
「わかりました」。
Bさんは1階のレジに向かい、しばらくして坊主頭の男性店員さんと共に戻ってくる。

「BERGAMO、これが欲しいんですが、サイズ460はありますか?」とBさん。
店員さんは、「え、これは460ですよ」。
「あの、値札に500って書いてますけど」と俺。
「あぁ、これは、『500の場合はこの重量です』という表示です」。
「なるほど」。
「では、この460、一度股がってみますか?」。
「お願いします」とBさん。

人生初ロード。
トップチューブに股がりサドルに尻を乗せたのはよかったが、ハンドルを握る位置がおかしい。
ブラケットの下、「どうやってブレーキ掛けるの?」ってところにBさんの手がある。
「ハンドルを握る箇所は状況によって変えますけど、基本的にはこのブラケットの部分で」。
教えながらも、「わかるわぁ」と懐かしい気持ちになった。
俺もY’sロード大阪で初めてロードを買った時、Bさんと同じ箇所を握っていた。
そして、店員のHさんに「ここですよ」と優しく教えてもらった記憶がある。

「じゃあ、これを買います」とBさん。
「お渡しする前に、ギアなど調整するため少し時間を頂きますので、その間、あちらで必要なアクセサリーを見てご検討をお願いします」。
店員さんはそう言い残し、BERGAMOを押して1階に降りて行った。

アクセサリーコーナーで話し合う。
Bさんに「まず何を装備しなくてはならないですかね?」と聞かれ、「予備のチューブですね。ここにチューブがありますけど、サイズ的にはこれとこれのどちらかかと」。
「このふたつ、何が違うんですか?」。
「バルブ長です。ホイールのリムが高いと、チューブ交換する際に『バルブが短すぎて空気入れにくいねん』って経験がありましたね。自分は。苦労しましたわ」。
「はぁ」。
「自分は、Bさんが買ったロードのホイールのリムまで確認していないので判断できません。店員さんに確認を取って下さい」。

「他には?」。
「ライトですね。前と後ろの。あ、後ろのは、ロードに反射板が付いていたので、既に法律的にはセーフかなと」。
「一応、今乗ってるマウンテンバイクには後ろにライトを付けてるので、それを移行しますわ」。
Bさんが常軌を逸するレベルに面倒くさがりなのは知っているので、「ほんまかいな」と思う。
「前については、今乗ってるマウンテンバイクのフロントライトが壊れてるので、これを買いますわ」と、BさんはVolt400を手にした。
「ええもん買うやんけ」と思う俺。

「携帯できるポンプも必要ですね」。
「それは持っています。CO2のどうたらこうたらでね、エアーがなんたらかんたらでね」。
俺は「面倒くさ」と思う。

「あのロードには、ボトルケージもボトルも最初から付いているので、他にはタイヤレバーは必要ですね。チューブを交換する際に使います」。
と、その時、店員さんが戻ってきた。
「あ、タイヤレバーですか。2本あったらチューブの交換が可能です」と店員さん。
「なら大丈夫ですね。僕は3本セットのを買ったのですが、無くしてしまい、今は1本残ってるので問題無いですね」とBさん。
俺は、「この人、ほんまに人の話を聞いてるんか?」と呆れたが、「もう、どうでもええわ」という心境にもなり、指摘するのはやめた。

1階に降り、レジの隣にある机に座り(Bさんが。俺は立ったまま)、防犯登録や割引についての説明を受ける。
「足痛いし、はよ終われ」と思いながら様子をうかがっていると、Bさんは店員さんに対してちょくちょく世間話を振っている。
「趣味は何ですか?」、「休みの日は何をしているんですか?」まで聞く勢いだ。
Bさんは、店員さんとコミュニケーションを取ることで、店員さんも喜んでくれると一方的に思っているのだろうが、待たされるの俺の気持ちもわかってほしい。

精算を終え、ロードを車に積んでBさんの家に向かう。
はずが、ここでも問題が発生。
車の中が散らかりすぎていて、ロードが積めない。
お店の前で店員さんがハンドルに手を掛け、こちらを眺めている。
待ってくれている。俺
は、仕事とは別に無駄な時間を作らせてしまい申し訳なく思った(Bさんは何も感じなかっただろうが)。
10分近くかけて車内の釣り道具やら毛布やらをひとまとめにして、前輪を外せばなんとか積める状態になった。

「Bさん、ホイールの脱着の仕方、わかります?」。
「いえ、いまいち」。
10年前からマウンテンバイクに乗っている人の言葉とは思えない。
「でしたら、Bさんの家にロードを持って行ってから教えましょうか?メンテナンスするにも、チューブ交換をするにも、輪行バッグに収納するにも、知ってた方がいいですから」。
「宜しくお願いします」。
本当は、少し乗ってみてブレーキのかけ方やシフトチェンジについても教えたかったが、雨が強くなってきた。
「やめとこ」。

以前にも一度行ったことがある、Bさんが住むマンションに着いた。
下の駐車場に車を入れ、ロードを出して「ホイールの脱着について教えますね」。
「まず、ひっくり返しましょう。そのために、ハンドルに付いてるライトを外して下さい。このままやと邪魔やしライトに傷が付くし」。
買ったばかりのVolt400を外そうとしたが、これがなかなか外れないようで、Bさんが苦戦している。
実は、俺も普段からVolt400を使っているので、「こうするんですよ。簡単ですよ」と手を伸ばしたところ、「違う…」。
「俺が持ってるのとは、構造が違う…」。
「スマートフォンで取説をダウンロードして確認しよう」と思ったところ、Bさんが力業で外した。
「ほんまにそれで正しいんか?」。
ちょっと思った。

「ひっくり返して、これで上下逆になりましたね。それで、まずホイールを外すには、2箇所のロックを解除して下さい」。
説明していると、Bさんがスマホで動画を撮り始めた。
「そんなんせんでも、覚えること、大して無いよ」。
心の中で俺は呟く。

「前輪のクイックリリースレバーを解除して、前輪のクイックリリースレバーを外して、同じことを後輪にもする。これで前後輪は外せる」。
「ホイールをはめる時は、簡単に言うと外す時と逆のことをする」。
こんな感じでホイールの脱着をやって見せ、「今日のスケジュールはこれで終了」。
帰ろうとすると、「いろいろお世話になったので、おごります。一緒にお酒を飲みましょう」とSさん。
先に言っておくが、連れて行かれた店は、ガストだった。

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