(67)サイクリングロードの橋脚で壁当てをする。野球と俺。-1

ロードバイクを担いでマンションの階段を降り、サイクリングロードに向けて走る。
馴染みのサイクリングロードに着き、往復25㎞の距離を走って、家に戻る。
以前は、それを日課のように繰り返していたが、最近は違う。

川沿いのサイクリングロードには、数本の橋が架かっており、その中の適当な橋の下で、俺は壁当てをしている。
前の日曜日も、サコッシュにグローブとボール、シューズを入れ、ロードに乗って家を出た。
数㎞走り、他に誰も壁当てしていない橋脚があると、俺が使わせてもらう。

ロードを降り、ビンディンシューズからランニング用のシューズに履き替え、ボールに魂を込め、壁に向かって投げつける。
「ビュッ」や「ズドーン」という効果音が脳内で再生されるが、現実は、壁に当たった瞬間、「ペコッ」と音がする。
投球フォームをチェックしながら、一球一球、しっかりと投げることを心がける。
ただ、悲しいことに、20球も投げると膝が笑い出す。
壁から跳ね返ってきたゴロを捕球するため、腰をおとすと、徐々に腰が痛くなる。
帰る頃には体の節々が痛くなり、次の日、目覚めとともに気だるさを感じる。
サイクリングと壁当ては、使っている筋肉が違うからなのか。
俺にとって、ボールを投げること、取ること自体に、ブランクがありすぎるからなのか。
想像以上に体への負担があるようだ。

俺は40を過ぎたおっさんだが、同世代のおっさんよりも「動けるおっさん」を自負していた。
基本的にどんくさい性質の俺だが、ロードバイクに乗って長時間動くことで、「俺はなかなかやるおっさん」と、自分を過信していた。
現実は、「ただのおっさん」なのに。
これからは勘違いすることなく、自分の立ち位置をわきまえて、しおらしく生きていきたい。

それにしても、40を過ぎてこんなことをしているとは、想像もつかなかった。
30年前の俺が今の俺を知れば、度肝を抜かれるだろう。
こうなった経緯を何と説明すればよいのだろうか。

先日、俺は、いつものように近所の飲み屋に入った。
瓶ビールを飲みながら、焼き厚揚げをちびちび食べていたその時、「春に草野球しませんか?」と知り合いから、声をかけられた。
これが始まりである。
俺が少年野球を経験していたこと、今でもプロ野球を観るのが好きなことを、知り合いは知っていた。
だから、俺を草野球に誘ったのだと思う。
「やりましょう。本気出していいですか?」
「変化球は5種類投げられますが、素人相手やと封印しておいた方がいいですかね?」
確か、酔った勢いでこんなくだらないビッグマウスをかました気がする。
後々、辻褄をあわせるのに苦労するのに…。
本当にくだらないことを言ってしまったものだ。

※この記事は、2019年2月27日、俺が別のブログに投稿した文章を、加筆、修正したものです。

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