(87)京セラドームで草野球をする。イメージトレーニングはパワプロ-6

新生 名門 Fラン大学付属高校 野球部。
守りを中心とした洗練されたチームに生まれ変わって2回目の夏。
1回戦の相手は、総合力Aの強豪校。
最悪である。
「やる前から負けること考えるやつがいるかよ」と、俺の耳元でアントニオ猪木がささやいた気がするが、はっきり言って、勝てる気が微塵もない。
データ上、格が違うのだ。
だが、今までの努力が水の泡になるのも絶対に嫌だ。
ここで弱気になるよりも、今やるべきことに全力を出す。
それによって、活路を見出だせるかも知れない。
俺のできることは、的確な指示を送ること。
戦力で負けても、戦略で勝つのだ。
俺は、いつも以上に緊張感を持ってのぞんだ。

序盤から、1点、2点と失点を重ねる。
打線の方も沈黙し、手のうちようがない。
期待に胸をふくらませた2回目の夏は、一瞬で過ぎ去った。
手塩にかけて育てた3年生が引退し、チームからも俺の中からも、魂が抜けてしまった。
まだ、才能抜群な上に成長過程でもある稲葉と田島が残っているが、以前ほどの熱い気持ちは、俺には無い。

新チームになり、なんとなく練習の日々を送り、夏が終わった。
そして、秋の大会が始まった。
予想に反して好成績をあげる。
結局、春の選抜には出場できなかったが、「我が野球部も捨てたものではないな」と感じた。
グラウンドで練習する選手たちを見詰めながら、「もう一度、本気で甲子園を目指してみるか」と、俺は自分のスイッチを入れた。
この判断は、正しかった。
去年よりもさらにたくましくなった稲葉と田島を軸にした新チームで、黄金時代を迎える。

次の夏、1回戦からすいすいと勝つ。
何をしても当たる。
俺は、「名将」や「魔術師」と呼ばれてもおかしくないほどの采配を連発し、「負けることなどありえない」と、再び、自信がみなぎった。
また、快進撃を続けた時の感覚、勝っている時の感覚を取り戻した気がする。
決勝戦においても、俺の采配は的中し、選手たちも能力以上のものを発揮してくれた。
正直、あっさり勝ちすぎて、何の感動も込み上げることなく、甲子園への切符を手に入れた。

試合後、スコアボードを正面に、選手たちが並んだ。
そして、我が校の校歌が流れるではないか。
何か馴染みのあるメロディー。
ゲームの中で、何度も聴いたあのメロディー。
これを校歌にもってくるなんて、なかなか味のある演出をしてくれるよな、コナミ。

「俺たちは、やっと甲子園に行くんだ」と、ここで初めて達成感と感動が押し寄せてきた。
怒涛のように。

※この記事は、2019年3月17日、俺が別のブログに投稿した文章を、加筆、修正したものです。

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