(445)甲子園と俺-1

夕方のこと。
仕事の後、近場のサイクリングロードをゆっくり走ろうかと考えた。
最近は日が沈むのが遅いので、「19時ぐらいまでなら大丈夫やろ」と。
また、先日サイクリング中に転倒し、右肩、胸、背中を負傷したのだが、アンメルツのおかげで随分と回復した気がするので、「試しにゆっくり走ってみたいな」とも思い。

家を出る前、チェーンに注油していると知り合いからメールが入った。
「夕方、時間ありますか?甲子園のチケットあるんですが、どうですか?」と。
「行きますよ!僕はとっても暇なので!」。
注油を簡単に終わらせ、ジャージを脱いで普段着に着替え、急いで家を出る。
試合開始の18時には甲子園に着かなくてはならない。

7月21日(火)阪神対広島戦。
シーズンが開幕して、25試合目かと思う。
開幕当初の阪神は、とにかく悲惨。
圧倒的な弱さを発揮していた。
まず、打線が糞。
「ランナーをためて、あと一打が出ない」というレベルではない。
期待感など微塵も無く、ただただ淡白な攻撃を繰り返していると時間が過ぎ、予定調和のように負ける日々を繰り返していた。
原因としては(俺なりの印象だが)、外国人がひどかった。
「この人、ほんまに元メジャー?またはAAAでほんまに実績を残した人?野球したこともない、そこら辺を歩いてる、ちょっとぽっちゃりした普通のアメリカ人ちゃうん?」。
過去にもこんな外国人選手はいたが、「今年は2人も入ってきたんか…」とため息。
打線がしょぼすぎて点を取ってくれないので、ピッチャーも気が気じゃなかったと思う。
「1点取られたら終わり…」という心境になり、余裕を持つことも攻めた投球とできず、結局力尽きる。
全てが悪循環だ。
たまに「今日は勝つかも!」という日があっても、抑えの藤川が試合をぶち壊し、「今までの3時間は何やったんや…?」と、ファンの1人として惨めな気分になったものだ。
が、最近の阪神は復調し、借金も返済して上を目指す態勢に入った。
絶望を感じられた外国人選手も日本の野球に順応。
立派に存在感を発揮し、しょぼかった日本人選手も調子を上げ、藤川が2軍落ちしたことで勝つ可能性が高くなった。

「今日も勝って連勝を伸ばしてほしいわ」。
そう思いながら8号門に進む。
と、係の人から荷物チェック(缶や瓶は持ち込み不可)され、缶チューハイをカップに移し替えて入場。
17時45分。

チケットに記されたグリーンシート上段の席に向かう。
球場内の通路は、お祭りの屋台のように店がひしめきあっているが、コロナの影響で観客の上限は5,000人。
店に群がるお客さんは、ひしめきあっていなかった。
甲子園とは思えないぐらい人が少なく殺風景。
ただ、「歩きやすいし買い物しやすいわ」と思い、快適な気分にもなれた。

「とりあえず弁当買わなあかんな」。
選手とコラボした弁当は、1,000円以上する。
近所の弁当屋で買った方がよっぽど賢いが、新幹線で食う駅弁と一緒。
高くても雰囲気を味わうために弁当を買うのだ。
梅野弁当、福留弁当、糸井弁当など、それぞれ特色のある弁当を見たが、「ここは高山やな」。
高山弁当1,300円を購入。

最近、全く試合に出ない高山ではあるが、俺は期待やら感謝やら、特別な気持ちで彼の活躍を待ち望んでいる。
阪神は2015年のドラフトで高山を1位指名し、交渉権獲得(抽選でハズレくじを引き、獲得したと早とちりしてしまったヤクルトの真中元監督の笑顔は、プロ野球ファンの記憶に残っているだろう)。
この高山は、明治大学でリーグ通算最多安打を記録した男だ。
実績は申し分無い。
が、過去のドラフトにおいて、実績のある選手は口を揃えて「在京セ・リーグ希望」とぬかしていた。
また、「阪神とロッテだけは特に嫌」。
そんな時代もあったが、大型ルーキー高山は阪神に入団。
ファンである俺としては、大きな期待を寄せた。
わけだが、年々ひどくなってきている。
積極的すぎて糞ボールにも手を出すため、神業のようなヒットを打つこともあれば、「何でゴルフしてんの?」と低めの糞ボールを空振りすることも。
まぁ、積極性は持ち味だとは思うが、数字が残せないしチームの勝利には貢献しにくい。
というわけで、当然、出番も少なくなった。

「魅力的な選手やから、なんとか今年は活躍してほしいよなぁ」と願いを込めて弁当の蓋を開ける。
と、「さすが肉三昧弁当や」。
ボリュームがある。
腹も膨れそうだし、残った分は酒のあてにしてちびちび食おう。
「では、何から食っていこうか」。
考えながら箸を割り、「まずはこれやな」。
卵焼きに箸を伸ばしていると、「国家斉唱。ご起立ご脱帽下さい」とアナウンスが。

起立。

き~み~が~~よ~は~

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