(480)ロードに乗って、鳴門の海を見ながら走るはずでは?

今週の月曜(8/31)のこと。
仕事の後、「一杯飲んで帰ろうかぁ」とNさんの店に寄った。
Nさんとは、釣りが好きな飲食店経営者。
鳴門へ真鯛釣りに行く際、俺とロードバイクも車に乗っけてくれる人だ。
開店時間と同時に入店し、「暑いですねぇ」「ですよね」などとありきたりな言葉を交わし、カウンター席に座ると、「そうそう。krmさんに連絡しようと思ってたんですけどね」とNさん。
「はぁ、何ですか?」。
「水曜(9/2)、鳴門に行けます?また釣りに行くんで、一緒にどうですか?」。

レモンサワーを飲みながら、俺は頭の中でスケジュール表を開いた。
ビワイチの移動日として木曜(9/3)は休みを取っていたが、水曜(9/2)は元々休みだ。
「大丈夫ですよ」。
「では、水曜の早朝に迎えに行きますので、鳴門へ行きましょう」。
「宜しくお願いします」。

ビワイチ前に鳴門を走る。
芋焼酎を飲みながら、ロードバイクお遍路をするか高松往復コースを満喫するか考えていると楽しくなってきた。
そこそこ飲み食いし、酔っ払って店を出る時、「鳴門行きの詳細な時間は明日(9/1)のお昼に連絡しますので」とNさん。
「はい、わかりました」。
俺はそう返し、商店街をぶらぶら歩いた。

鳴門の天気をチェックすると、夜は雨だが昼間は普通に走れそうだ。
「久々に鳴門を走る。いいねぇ」などとニヤニヤして過ごし、翌日(9/1)の昼、Nさんからメールが入った。
「渡船の船頭さんに連絡したのですが、明日(9/2)は台風の影響で天気が怪しく、中止にします」と。
続けて、「その代わりに明日(9/2)は伊丹へラーメンを食べに行きましょう」。

「はぁ?」。
展開が早すぎてついていけない。
頭の中で整理する。

8/31 Nさんより9/2鳴門行きを誘われる。
9/1 台風のため鳴門行き中止と連絡が入る。鳴門の代わりに、9/2は伊丹のラーメン屋に行きましょう。
9/2 伊丹でラーメン?

「ちょっと待ってくれよ…。15時間前に『鳴門に行きましょう』って話やったんが、中止?」。
「で、伊丹のラーメン屋?」。
「伊丹なんか、うちから自転車でも行ける距離やんけ」。
「いつでも行けるやん」。
混乱しつつも「『9/2は仕事休みです』って言うてもうたしなぁ」と思い、「わかりました」。

仕方ない。
まぁ、ラーメンを食いに行くのはいいとして、ここでひとつ不安がよぎった。
「まさか、並ばなあかん店に行くつもりか?」。
「しかもポールポジション狙いで、早目に出発?」。
数年前は、俺もラーメン愛好家として並ばなくてはいけない店に行き、遅くても開店30分前には並んでいた。
Nさんと一緒に。
ただ、今の俺は「世の中、うまいもんはラーメンだけじゃないでしょ?」、「並ぶ時間そのものが無駄やねん」、「並んでまで飯食いたないわ」だ。
でも、「あぁ、Nさんのことやから、早目に出て並ぶんやろなぁ。クソ暑い中を…」。
うんざりしていると、案の定「10時25分に迎えに行きます」と返事が。
おそらく、11時半にオープンする店なのだろう。
「やっぱりなぁ。午前中に『ラーメン食いたい』って、なかなか思えへんで…」。

日が明けて9/2。
伊丹のラーメン屋に行く日。
10時25分にNさんが迎えに来てくれた。
車の中で世間話をし、20分ほどで伊丹に着く。
駐車場からぶらぶらと伊丹の街を歩き、「鶏白湯そば 松もと」へ。

このお店、夜は高級感溢れる焼鳥屋で、味の評判も良いそうだ。
そして、さらに昼は昼でラーメン屋として人気があると。
期待しか無い。

オープン35分前に到着。
並んで待つお客さん用の椅子が並べられていたが、誰も座っていない。
我々が一番乗り。
直射日光を浴びるポジションだが、椅子に座る。
と、扉が開き、お店の人が外に水を撒きに出てきた。
「こんにちは」と挨拶され、「こんにちは」。
ぽつぽつと並ぶお客さんも増えてきた。
オープンまで、あと30分。
「許して…。暑い…」。

暑さを耐え凌ぎ入店すると、割烹?という雰囲気。
静けさと高級感。
「なかなか雰囲気あるよなぁ」。
そう思いながらメニューに目を通すと、「鶏白湯そば」をベースに、柚子の有り無しとトッピングの豪華さで値段が異なるラインナップ。
「まぁ、一番安いのでええやろ。ラーメンに1,000円は払いたないわ」と思ったが、「いやいや。伊丹まで来たんやから」と味玉入りを注文。
1,000円。

静寂の中、しばらく待つと炭酸水が出された。
普通のラーメン屋では当たり前のように水が提供されるが、ここ松もとさんでは、水と炭酸水、スパークリングワインのうち1つを選択できる。
ちょっとしたことのようで、かなり嬉しいサービス。
クソ暑い中、開店を待った俺にとって、炭酸水はたまらない。

喉を潤して、既に満たされた気分。
と、「鶏白湯そば 味玉入り」登場。
「いやぁ、上品で旨そう。凛とした佇まいやな」。
白いスープの上に添えられた紫玉葱が、見た目の良さを際立たせている。
また、鶏のレアチャーシューなどは、見ただけで「これは絶対旨い」と確信した。

店員さんから「まずはスープを一口飲み、鶏肉を味わい、七味とレモンでお好きな味に変えて楽しんで下さい…」とかなんとかのアドバイスが記載されたカードを提示される。
「はいよ。わかったよ」と心の中で呟き、俺はスープを少し口に含んだ。

鶏白湯は、基本的に旨いものだと思う。
が、濃厚すぎる鶏白湯を旨く感じられるかどうか自信が無い。
「あんまりどぎついのはやめてや」と不安を覚えながら味を確かめてみると、「旨い」。
泥臭くなく、サラッと入ってくる。
また、それでいて深みを感じる。
「これは、ハマるわぁ」。

次に鶏チャーシュー。
もうね、当たり前のように旨かった。
食べるのがもったいないと思ったぐらい。
「麺は?麺もこだわってるかな?」。
麺をリフトアップすると、「おー、全粒粉か。見映えがええよなぁ」。
当然、味も良かった。

鶏チャーシューと麺を食い終え、最後に追い飯が出された。
残ったスープにぶちこんで、一口。
「ちょっと素っ気ない味かな」。
そんな気がしたので、レンゲで梅干しを潰しながら食べる。
俺は子供の頃から梅干しが苦手だったが、初めてかも知れない。
梅干しが入った料理を「旨い」と感じたのは(あ、梅ガムは昔から好き)。

味、見た目、サービスの全てに満足して店を出ると、外には10人ほどお客さんが並んでいた。
俺とNさんは特に会話も無くとほとぼ歩く。
以前の俺なら、「さっきのラーメン、穂先メンマがいい仕事してましたね」などとラーメン談義に花を咲かせるのだが、満足感が高すぎて言葉が出なかった。

が、ふと思い出した。
「あ!」。
「Nさん、ちょっと寄りたいとこがあるんですけど」。
伊丹に来たからには、絶対に寄らなくてはならない店、「餃子専門店 大阪王」。
過去に、サイクリングを兼ねてここで買い物をした経験がある。
表面のパリパリ感が気に入り、テイクアウトでも十分すぎるほど旨く、俺は一瞬でファンになった。
「大阪王って、あの大阪王ですか?行きましょう」とNさん。

家に帰り、昼間から餃子にビール。
旨いラーメンも食ったし、いやぁ、なんて有意義な一日なんだろう。
鳴門のことは、どっかに行った。

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