(100)今、ロードバイクに乗って行きたい町は、岡山。そして尾道。-2

暗くなり、晩飯を食おうかと、岡山城近くのビジネスホテルから街に繰り出す。
初めて歩く岡山の街。
思ったより、人通りが激しい。
「岡山は、えらい都会なんやなぁ」と感心していると、ドンパンドンパン、音が響く。
夜空を見上げると、花火が打ち上げられ、それを、俺はひとり、道の脇で見つめていた。
偶然にも、その日はお祭りがあるようで、人混みの理由を理解した。

ひとり映画。
ひとり城巡り。
ひとり寺巡り。
今まで経験した、俺の中のひとりシリーズに、「ひとり旅」と「ひとり祭り」が追加された。
たった1日で。

当時、俺には好きな子がいた(今は何をしているか知らん)。
ひとり旅のせいか、妙に人恋しくなり、ふと「今、あの子は何をしてるんだろうか?」と思ったが、「お前こそ、今、ひとりで何してんねん?」と、俺自身から、厳しい指摘を受けた。
「確かに」。
俺は、何が悲しくてひとり祭りを堪能しているのだろうか。

翌朝、1日遅れで尾道に向かう。
人生2度目の尾道。
電車がとまり、俺は駅のホームに足を落とした。
今は改装されたようだが、「Nゲージ(鉄道模型)に、こんな簡素な駅があったな」と、当時の尾道駅の味を噛み締めた。

駅を出ると、南東に商店街がある。
そこは前回歩いたので、北側に足を進める。
坂。
古い町並み。
小さな家がひしめきあう中に、曲がりくねった小さな道。
感覚に任せ、登ったり下ったり。
とぼとぼと歩くと、古びたお寺にたどり着き、また、登ったり下ったり。
蒸し暑い中を歩いたので、全身、汗でびっしょりになったが、細い道をスズメバチが飛び回り、進路を妨害された時は、冷や汗でびっしょりになった。
虫が苦手な俺にとって、スズメバチは極悪だ。

一通り歩き、駅に帰る。
「もし、今日、広島市民球場で広島-阪神戦があれば、広島市まで行って、野球観戦しよか」と思い、売店でスポーツ新聞を買おうとした時、母親から携帯に電話が入った。
「あんた、何してんのん?今、どこにおるん?」と。
確かに。
俺は何をしてるのか。

その後、尾道には、3回ほど旅をした。
俺の中で、尾道は特別な町なので。
なんとか時間を作り、来週か再来週、ロードバイクに乗って、久しぶりに尾道を訪れたい。
晴れ渡った空の下、ヘルメットを被り、しかめっ面でクランクを回す俺。
きっと、疲れたせいで全てを投げ出したい気分になり、俺は時速15㎞ぐらいのちんたらした速度でクランクを嫌々回すのだ。
国道2号線を走り続け、左手に海、右手に坂の町。
もう、尾道の市街地だ。
浄土寺の前で、ボトルの水を飲み干し、ほっと一息つく。
そんな近い未来の俺を、俺は今、にやけながら想像している。

※この記事は、2019年3月29日、俺が別のブログに投稿した文章を、加筆、修正したものです。

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