(108)怖い目にあった。ロングライド後、夕日を浴びながら金縛り。-2

ロングライドの後、ひとり、事務所のソファーでうとうとし、金縛りにあった俺。

「違和感があるなぁ。あ、金縛りか。久々やなぁ」。
14の時に初めて金縛りあって以来、俺は金縛り慣れしている。
慣れてしまうと、「怖い!」よりも、「睡眠が妨げられた。鬱陶しいなぁ」と思う。

目をつぶっているが、窓から夕日が射し込んでいるのが、なんとなくわかった。
まだ、夕方ということは、寝てすぐに金縛りにあったようだ。
金縛り上級者である俺は、気持ちに余裕があるので、「せーの、ほっ!」と声にならない掛け声をあげ、体を動かして解除しようとしたが、なかなかうまくいかない。
諦めて、自然に解けるまで待つことにした。

しばらくすると(実際にどれぐらい時間がたっているのかわからないが)、俺は不快感に襲われる。
数人の女の子の話し声が、あまりにうるさいのだ。
学校の休み時間、教室で女子のグループが大声でキャッキャと盛り上がっている光景を思い出す。
「きっと、近所の中学校の女子グループが下校中で、事務所が入っているビルの前を歩いているのだろう」。
俺は仰向けに固まったまま、そう考えた。

ところが、声は遠ざかるどころか、だんだんと大きくなり、「え?事務所の前の廊下に何人かの女の子がいるのか?」と思う。
まさか、そんなわけはない。
うちに用事がある女の子グループなんて、いるはずがない。
ここで、俺は余裕が無くなり、びびりだした。

おかしい。
キャッキャキャッキャと聞こえていた声が、「キャー!」や「ギャー!」に変わった。
「もしかして、火事か?このビルで火事が起こったんか?」。
「やばい。逃げなあかん。焼け死ぬやんけ」と思っても、気が焦るばかりで、体は動かない。

その時、ひとつのことに気付いた。
叫び声にまぎれて、小さな声が聞こえる。
ヒソヒソヒソヒソ…、コソコソコソコソ…。
女子数人による叫び声と、小さな声で話している2人。
そんな光景が、頭に浮かんだ。

「小声で何を話してるんやろ?」と、俺は会話の中身に興味を持つ。
耳をすませて、何を話しているのか聞こうと努力する。
しかし、それは叶わなかった。
金縛りが解けると同時に、叫び声もひそひそ話も消えてしまったのだ。

体を起こし、今あったことを自分なりに整理した。
結局、ただの金縛りだろうが、「今までの金縛り経験の中で、今回は特殊なケースやったなぁ」とも思った。

女の子の声と、斜向かいの墓石との因果関係については、俺にはわからない。

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