(520)ロードバイクに乗れなかった日-1

雨の日が続き、やっと晴れてくれた先週の日曜日。
待ちわびていたサイクリング日和。
「ついにこの日が来たか」とほくそ笑む。
が、しかし、忘れていた。
俺にはちょっとした用事があるのだ。

大して親しくもない、知り合いE(40代 男性 友達の友達みたいな距離)に引っ越しの手伝いを頼まれている。
最初、「普通に引っ越し業者に依頼しろよ」と思ったが、話によると荷物はそれほど多くないらしい。
また、「簡単に作業してからみんなで飲もうや」と。
「手伝ってくれたら、俺(E)がみんなに振る舞うから」と。
酒と飯に目がくらんで安請け合いした俺は、本当に迂闊だったと後になって後悔。

昼前にEが車で迎えに来た。
「お疲れっす」。 「お疲れっす」。
乗車すると、友達U(40代 男性)もおり、おっさん3人でEの家(引っ越し元)へ。

「お邪魔します」。
独身男性特有の生活感を放つワンルーム。
足を踏み入れると、「じゃあ、とりあえず、そことそこの物は段ボールに入れて」。
「あと、ハンガーにかけてる服、まずは1ヶ所にまとめて」。
他にも細々した指示がEより下った。
が、「はい、わかりましたー!」という気にはなれない。
「梱包作業とかひとりでできるやろ…。先に自分でやっとけよ…」だ。

もともと無かったやる気が、さらに失せる。
そんな感覚を覚えつつも、仕方無く荷造りに取り掛かった。
ちょっと作業すれば、傍らに置いたペットボトルの緑茶に手を伸ばし、何となく口に含む。
そしてまた少し作業しては休憩。
普通なら1時間で終わりそうな作業を、1時間半かけて終了(荷造りが)。

「こいつら、よう頑張ってるわぁ」。
積極的に動くEとUは、荷物を抱えて駐車場へ走り、車に荷物を詰め込んでまた戻ってくる。
俺と言えば、隙を見てサボる。
スマートフォンを手に取り、twitterをチェック。

毎朝、仙台の夜明けをツイートする人がいる。
まだ薄暗い時間帯の写真、日の出の写真。
なかなか見応えがある。
「お、伊達政宗の騎馬像か?てことは、青葉城かぁ」。
10年ちょっと前(ロードバイクに乗る前)、城巡りが趣味だった俺は、東北に旅行した際、青葉城を訪れた。
9月の上旬だったと思う。
クソ暑い中、仙台駅から歩いて青葉城に向かい、着いた頃には意識が朦朧。
観光気分は完全に消滅。
「次は涼しい時期に青葉城に生きないなぁ」と思いながら「いいね」。

滋賀県に住んでいる人だろうか。
頻繁に琵琶湖周辺を走っている人のツイートを目にする。
「今日も琵琶湖を走ってはんねんなぁ」。
「環境いいよな。景色も綺麗やわぁ」。
「羨ましいよなぁ」。
自然とビワイチを走る自分を想像してしまう。
しかし、大した義理も無いEの引っ越しに駆り出された現実と向き合わなければならないのだ…。
まぁ、それはそれとして、「いいね」。

俺がサボっている間にEとUが荷物を積み終え、「じゃあ、行こうかぁ」。
3人で車に乗り込み、引っ越し先に向かった。

つづく

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