(524)ロードバイクに乗れなかった日-5

ベランダ窓を開け、家の前を通る道に目を向ける。
「郵便局の配達員、早く来てくれへんかなぁ」と思いながら。

さっさと郵便物を受け取って、ロードバイクに乗りたい。
片道20㎞ほどだろうか。
大阪城まで走り、帰りに松屋町の日本亭に寄り、でかい唐揚げ弁当を買って、ビールと共に腹を満たしたい。
しかし、配達員が何時に来るかわからないため、俺は身動きが取れない。

布団の上に寝転がり、スマートフォンを手にしてtwitter起動。
「おぉ、大自然やなぁ」。
知らない人のツイートに添付された画像を見て、心を揺さぶられる。
そして、「いいね」。
念のため、ツイートした人のプロフィールを確認すると、「やっぱりかぁ。北海道」。
九州の人も四国の人も、中国、近畿、中部、関東の人も東北の人も美しい景色を見せてくれるが、「北海道は別格ちゃうか?」。
そんな印象を受ける。
「俺もこの景色の中を走りたいなぁ。北海道、走ってみたいなぁ」。
北海道のロード乗りが心の底から羨ましい。
ただ、「冬はどうするんかな?」とも思う。

12時を過ぎた。
配達員はまだ来ない。
引き続き、ツイートに目を通す。
と、「何や?ハンバーガーの画像があるな」。
プロフィールを拝見すると、島根の人。
山やダムの画像とともに、ハンバーガーの写真をあげている。
「いいね」。

俺は小学校の給食で、毎日毎日パンを嫌々食わされたせいで、ハンバーガーを食っていてもそれを思い出し、少し嫌な気分になる。
のだが、ご当地バーガーは何故か魅力的に感じる。
「ほぉ、三瓶バーガーっていうんか」。
どんなバーガーか気になり、ネットで調べていると15時を過ぎた。
配達員はまだ来ない。

前回の記事にも書いたが、郵便物は大阪都構想の投票案内状。
正確には、「大阪市を廃止し特別区を設置することについての住民投票」の投票案内状。
このブログに俺の政治に対するポリシーを書くつもりはないが、正直なところ「判断しにくい」と思っている。
メディアにおいて、賛成または反対を主張する人を目にするが、どちらもなかなか胡散臭く感じ、本質が見えにくく感じる。
元々は「反対」と決めていたが、待てよ。
今一度考えてみよう。
「う~ん」。
じっくりと自分なりに問題と向き合っていると、16時を過ぎた。
配達員はまだ来ない…。

日暮れが18時として、近所のサイクリングロードを1時間ほど走るとすれば、17時にはロードに乗って家を出たい。
そして、その前に来てほしい。
配達員に…。

「朝の9時から、こっちは臨戦態勢で待ってるのに…」。
「早く配達してくれへんと、出るに出られへん…」。
「チェーンの清掃もしたし、いつでもロードに乗れる状態やのになぁ」。
と、「ピンポーン」。
「やっと来やがった…」。
跳び跳ねるように玄関へ走り、ドアを開ける。
郵便物を受け取り、サインをして「さぁ、走ろうか」と思った。
が、見送った配達員の背中の向こうは薄暗い世界。

時間を確認すると、17時を過ぎている。
「今から走るんか?」。
帰る頃には真っ暗になっているだろう。
前向きにはなれない。
ならば、開き直って何か食いに行こう。
配達員が来ないため、朝から家を出れず何も食べていないのだ。

ジョギング用のジャージに着替え、軽く走って向かった先は、カレーうどんの「まんてん」。
「いらっしゃい」。
いつも通りソフトな口調のマスターが迎えてくれた。
「ビール?」。
「はい、麒麟の350で」。
ビールをチビチビ飲みながら、ツイートをチェック。
「山は嫌いやけど、山の景色は綺麗やなぁ」。
「登った人、苦労したやろけど、今頃は充実感に満たされてるんやろなぁ」。
「羨ましいなぁ」。
と、カレーうどん登場。
きしめん状の変わったうどんで、とろみのあるスープがよく絡んで良い。
また、別に出された出汁を途中から入れて風味を変え、「旨い…」。
俺は辛いものが苦手だが、ここのカレーうどんは「旨くて辛い」のでガツガツ食える。
鉢の隅に箸を置き、「はぁ…」。
腹も心も満たされ、ツイートを見ては羨ましく感じていた今までが嘘のように思えた。

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