(111)自転車ダイエットは〇。野球の練習ダイエットの可能性は?-3

後部座席のクッションにもたれかけ、俺はぐったりと窓の外を見た。
照明が消えた甲子園球場を通り過ぎ、チームメイトの運転する車は、43号線を東に走っている。
時刻は、深夜1時半。
眠たい。
「これから野球せなあかんのかよ…」と思うと、より一層、かったるさが増した。

深夜2時から草野球の試合が始まる。
この日のために、約1ヵ月半、サイクリングをせずに、野球の練習とパワプロの日々を送ってきたが、いざ、夜中に試合となると、素直に「面倒くさい」。
「大雨でも降って、中止にしてくれ」と、祈りそうになったが、それは無駄だとわかっているのでやめた。
試合の場所が、京セラドームだからだ。
不幸にも、屋根がある。

ドーム近くの駐車場に車をとめ、敵、味方、両チームのメンバーとともに、関係者入り口を入る。
球場のスタッフから、「ハイヒールでグラウンドに入らないで下さい」などと、一通りの注意事項を説明され、通路を進む。
と、前から「おぉー」と、驚きと感動が混ざりあった声がする。
テレビで観た、プロが使うグラウンドが、そこにあった。

照明に照らされたグラウンド。
3万人以上収容できるスタンド(もちろん、この時は客0)。
ここで自分が野球できるなんて、信じられない感覚だ。
俺は、人工芝の心地よい感触を確めながら歩く。
ベンチに入って、適当な席に座り、テンションが上がりまくったチームメイトの練習を、ぼんやり眺めていた。
「深夜2時に体を動かすのは、なんか嫌」と思って。
ちなみに、テレビで観るよりも、ベンチは狭く感じた。

試合が始まり、セカンドの守備についた。
もともと、チームのまとめ役に「俺はショートかセンターかピッチャーしか嫌!目立つポジションじゃないと嫌!」と散々言ってきたのだが、却下されたようだ。

フォアボール、フォアボール、エラー、フォアボール…と、超草野球らしい試合展開を、俺はセカンドからぼけっと眺めていた。
相手チームは右バッターが多く、遅い投球を待ちきれないのか、打ってもサードやショートに打球が飛ぶ。
セカンドの俺は、何もすることがない。
「あの練習の意味は、なんだったのか?」と考えていると、やっと1回表が終わった。
いきなり、6点だか7点を取られたと思う。
正直、スコアなんかどうでもよくなっていた。

裏の攻撃は、あっさり終わり、2回の表、またセカンドの守備につく。
フォアボール、フォアボールでノーアウトランナー1、2塁。
ついさっきも見た光景だ。
ぼけーっと、自滅する試合展開を眺めようと思った時、バッターがサードゴロを打った(が、取れずレフト前ヒットになった)。
その時、「あ、ベースカバーに入らなあかん!」と、当たり前のことを思い出した。
そして、2塁へ移動している最中、ランナーと接触しかける。
走塁妨害の危険。
「しまった!」と叫びそうになる。
審判には見られていなかったので、結果的に何も問題無かったが、ランナーにはちゃんと謝った。
また、このプレーをきっかけに、少年野球をやっていた頃の感覚が、自分の中でよみがえってきた。

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