(526)脚を回しながらニヤニヤ-2

日本橋からなんば花月に向かって歩くと、10分足らずでホルモン屋に着いた。
早目に入店し、友人IとHが来るのを待つのだ。
が、店の入口に「準備中」と書かれたデカい将棋の駒が置いてある。
「え!?」。
慌てて食べログで営業時間を確認すると、営業開始は17時から。
飲み会の待ち合わせも17時。
俺が他のふたりよりも早く入店することはできない。
カウンターの隅から、「V6のIです」「V6のHや」。
そう店員に伝える彼らをこの目に焼き付けたかったが、どうやら無理のようだ。

「うお~、計算、狂ってもうたやんけ!」。
頭を抱える(実際には抱えてないけど、心の中でね)。
「全然おもろないやん…」。
昼前のサイクリングから今までの間、俺の頬骨を散々痛め付けたイベントは結局起こらないのか。
残念でならないが、ポジティブになろう。

ぶくぶく太ったH、頭髪の60%~70%を失ったI。
ふたりのおっさんが「V6」に刺激され、ジャニーズの衣装を意識したきらびやかな服装で来てくれないか?
来てくれ。
笑わせてくれ。
俺の頬骨をもう一度奮い立たせてくれ。
そう願った。
が、ジーンズに安物のジャンパー。
ふたりは、そんな普通の出で立ちで現れた。
「お疲れ~」と。
全然おもしろくない。

「おう。これ、並んでる人おるけど、ホルモン屋に並んでるんか?」とH。
普通に「見たらわかるやろ」、「それ以外にないやろ」と思いながら、「そうやな」と俺は返事した。
「あと10分ぐらいやな。店、開くの」。
「そうやな」。
「お前、何で来てん?」。
「電車や」。
当たり前のことをいちいち聞かれ、面倒くささやV6ショックもあり、会話を放棄する俺。

ショルダーバッグをまさぐり、スマートフォンを取り出してDAZNで阪神戦を視聴。
相手はDeNA。
ペナントレースは巨人が優勝し、残りは全て消化試合になったが、どうせ試合があるなら阪神に勝ってほしい。
阪神の攻撃。
スコアは同点、ノーアウト満塁。
阪神のチャンスではあるが、「どうせ1点も取られへんやろ」。
俺は子供の頃からの阪神ファンなので、負け犬根性が染み付いている。
そのせいでネガティブな物の見方しかできない。
で、予想通り0点。
「これは自然の摂理なのだ」と悟るしかない。
ちなみに、その後、阪神はサヨナラ負けをくらった。

17時になり、ガラガラガラ。
店員が入口を開け、並んでいた客がぞろぞろと入店する。
俺は苦虫を噛み潰すように「krmで予約した3名です…」と店員に伝えた。
「はい、お二階へどうぞ」。
踏み面が短く、しかも急な階段をびびりながら上がり、鉄板が置かれたカウンター席に俺たちV6は案内された。

つづく

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