(112)自転車ダイエットは〇。野球の練習ダイエットの可能性は?-4

俺の中で、完全にスイッチが入った。
「深夜に草野球なんかやってられるかよ。アホらし」という邪念が消えた。

まず、セカンドとして俺がすべきことを考えよう。
ランナーが1塁にいる場合、ゲッツーを想定して2塁ベース寄りに守る。
幸い、相手チームは右バッターが多く、引っ張る可能性が高いので、打球はサード、ショートに飛ぶ。
セカンドに飛んでくる可能性は低いので、すぐ2塁ベースカバーに入れる位置にいても問題無いだろう。

あと、アウトカウントをしっかり記憶しよう。
1回の守備の際、ツーアウトなのにベンチに帰りかけた。
みっともない。
だらけた試合展開になると、どうしても集中力が途切れがちになるが、その点を注意しよう。

アウトカウント同様、ランナーが何塁にいるか、常に意識しながら守ろう。
打球が外野に飛んだ際、セカンドの俺は中継に入らなくてはいけないのだ。
現状を把握しながらも、ホームで刺すか3塁で刺すか、先を考えてプレーしよう。

まぁ、当たり前のことばかりだが、一応、俺の中で意識改革が行われたのだ。
「さぁ、今から勝利に貢献するぜ!」と叫んだ(心の中で)、その矢先、フライが飛んできた。
打球方向を確認すると、セカンドフライ。
落下地点を推測し、そこまで移動して捕球体勢に入ろうとしたが、何かおかしい。
定位置に守る俺に向かって、まるで狙いを定めたようにボールの方から迫ってくる。

「こういうの無理!」と叫んだ(心の中で)。
俺は、ど真ん中の球が打てない。
正面のゴロを捕るのが苦手だ。
同じように、真上に来たイージーフライは捕れないのだ。
そういうメンタルなのだ。

ボールが落ちてきた。
俺のグローブめがけて。
「勘弁してくれ」。
悲しい気持ちでボールを見上げると、京セラドームの天井が視界に入った。

グローブを通して、ボールを掴んだ感触が伝わった。
その次の瞬間、ボールをはじいた感触も伝わった。
「やってもたー!」と絶叫しそうになる。
「俺は野球経験者だから、素人のおっさんがする草野球なんて余裕さ」。
俺をチームに誘った人に、そんなはったりを散々かましてきたが、一瞬でメッキがはがれた。
格好悪すぎる。
動揺する俺。

「2塁!2塁!」
ショートが、2塁ベース上で叫んだ。
おかげで、俺は我に返る。
フォースプレーで、1つアウトを取ろう。
俺は、足元に転がっているボールを、焦りながら拾い、ショートに投げた。
「インフィールドフライ!アウト!」
審判が叫んだ。

俺のプレーは、最初から無意味だった。

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