(575)ロードバイクに乗らず、電車で墓参り-1

年末の話。

何かとバタバタする毎日を送っていると、「あぁ、もうすぐかぁ」。
もう、あと数日で令和2年が終わる。
「あかんわぁ」。
「やばいなぁ」。
「年内に行っとかななぁ。墓参り」。

以前の記事にも書いたが、うちの墓は大阪府でもかなり南の方。
たいていの大阪府民からすると、聞いたこともないような町だろう。
まぁ、俺は子供の頃から何度も訪れているので、「俺の中ではメジャー」ではあるが、とにかく不便。
車で行くには時間がかかるし、電車で行くにも時間がかかる…上に乗り換えまである。
「おいおい、うちの先祖は何でこんなところに墓建てたんや?」。
通算500,000回はそう思った。

とかなんとか言いながらも、ロードバイクに乗り始めてから、「墓が遠いんはええことや」と思うようになった。
今、俺が住む兵庫県西宮市から墓までは、距離として約120㎞~130㎞。
小刻みな信号オンパレードである、悪質な26号線を走るため、かなりのストレスを感じるが、距離が距離だけに走った気分にはなれる。
一応。

で、「ロードに乗って墓参りしよう!」の機会を伺いつつ、俺は日々を過ごしていた。
が、どうしても時間がネックになる。
今までの経験とざっくりとした計算では、家と墓の往復は最短で8時間。
「暗い中を走るんは嫌やしなぁ」。
「でも、明るい時間帯に8時間も設けることはでけへんしなぁ」。
悩んだ末、開き直り「電車乗って行ったらええやんけ」となった。

阪神電車に乗り、まずは難波に出る。
コロナのせいか人通りはやや少なく思えたが、車道に目をやると交通量には変化が無いようだ。
まぁ、それはそれとして「昼飯食お。ここの豚カツ屋でええか」と店に入り、カキフライを食う。
今の時期、メニューに牡蠣があると、反射的に注文してしまう。

「美味かったわぁ」。
気持ちが満たされ、南海電車の難波駅へ。
以前は中国人観光客で賑わっていた改札前も、今では人にぶつからないよう注意する必要も無く、つかつかと券売機の前に進む。
そして、目線を上にやり「あぁ、電車賃、高いよなぁ。800円近くするんかよ」。
うちの最寄り駅から梅田や難波、三ノ宮に出る料金の倍以上ある。
「ふざけんなよ。うちの墓場の最寄り駅なんか、めちゃめちゃマニアックな駅やんけ。10円ぐらいにしろよ」。
素直にそう思ったが、南海に抗議したところでアホと思われるだけだ。
仕方が無い。
嫌々、千円札を紙幣投入口に差し込んだ。

和歌山方面に向かう特急の中は、まぁまぁ空いていた。
「前はキャリーバッグを足元に置いた中国人観光客がいっぱいおったけど、今は余裕で座れるな」。
そう思いつつゆったりと座ったが、「いや、ちょっと待てよ」。
「今のご時世や。日本人観光客もいなくなったんやわ」。
我ながら鋭い洞察力である。
「さすが、俺!」。

「さてと」。
これから50分近く車内で過ごすのだ。
「暇潰しに何をしよか」。
考える。
「スマートフォンで、今後投稿する記事の下書きをしよか」。
「いや、読みたくて買ったけど、まだ読めてない本を読もかぁ」。
ショルダーバッグに手を伸ばし、文庫本を取り出す。
と、電車が走り出し、心地好い揺れ。
「はぁ~あ」。
2~3ページ読んだところで、俺は眠りについた。

つづく

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