(580)信用できないチームメイト-2

伊丹の焼鳥屋「鳥源」さんの前。
我がサイクリングチーム「待っててコイサンマン グレート」のチームメイトAを待つ。
他の飲み会メンバーは時間通りに集まったが、Aさんだけは来ない。
まぁ、予想通りだ。
予約した時間の5分前になり、「もう、中に入って待ちましょうか」。

Aさんを除く我々3人は半個室に案内され、席に着く。
そして、「ちょっとすみません」。
店員さんに声を掛けた。
「4人で予約しましたけど、1人がちょっと遅れてるんで、えと、今のところ3人でして…」。
申し訳無い気持ちを表情に浮かべてそう言うと、「では、お料理の方は後にしますか?」。
「はい。とりあえずはドリンクだけで…」。
生ビールが3つ、テーブルの上に並んだ。

「あぁ、もう約束の時間になりましたね。やっぱりAさんは遅刻ですねぇ」。
飲み会メンバーにそう言うと、「最初から期待してないよ」という顔で「そうですね」。
「一応、もう一度Aさんにメールしてみますわ。『今どこですか?』『いつ頃着きそうですか?』って」。
胸ポケットからスマートフォンを取り出し、メールを送信。
で、10分ほど待ったが返事は無し。

つまみも無く、ちびちびと生ビールを飲む3人。
「もうええんちゃいますか?食べましょうよ」。
場の空気が変わり、「店員さん、コースの方、お願いします」。
しばらくしてお通しが出され、やっと飲み会らしくなってきた。

生ビールをお代わりし、「コロナのせいで世の中ガタガタですけど、仕事の方はどうですか?」などと世間話に花を咲かせていると、「お疲れ様です」。
笑顔のAさんが登場。
10分遅刻だ。
「いやぁ、ちょっと遅れましてねぇ」とAさん。
俺は「わかってるわ」と思う。
「時間に間に合うよう伊丹の駅には着いたんですけど、駅を出てからねぇ、ちょっと」。
「あの、俺、メールしましたけど読みました?」。
そして、満面の笑みで「はい、読みましたよ。でも近くまで来てたから返事せんでもいいかなと思って」。
「いいか悪いか決めるんは、こっちですよ」。

不愉快だ。
遅刻された上に笑顔で登場されると、タクシーに乗ってまで移動した自分がアホらしくなる。
「ほんまに…」。
ムカムカしながら乾杯。
そして、次々にコースの焼鳥が運ばれてきた。
「まずは、ささみわさびかぁ」。
大好きだ。
自然と顔がほころびそうになったが、Aさんの顔が視界に入るとイライラ。

Aさんの遅刻は今回が初めてではない。
飲み会のたびに「いやぁ、ちょっと遅れましてね」。
おそらく、本人の中では30分以内の遅刻は遅刻にならないといったルールがあるのだろう。
しかし、それを社会通念だと思ってほしくない。
もう50前の男なんだ。
それぐらいのことはわかるだろう?

「サラダ?まだ始まったばかりやのに箸休め?」。
ビールを喉に流しサラダを食っていると、また焼鳥が運ばれる。
「さすが予約必須の高級店。1本1本が特別な感じするわ」。
腹と心が満たされる。
が、やはりダメだ。
腑に落ちない。
「何故、メールを1通返すことすらできないのか?」。
「『あと5分で着きます』など言ってもらえるだけで、待つ側としては助かるのに」。
またイライラしてきた。

骨抜きの手羽先。
食べやすくジューシーで、「ちょっとこれは尋常じゃないな」という旨さ。
そして、〆のラーメン。
昼のラーメンに比べると量は少ないが、旨味が凝縮されているように感じる。
「恐ろしいわ…」。
「なんて贅沢なんやろ…」。
値打ちを感じる怒涛のラストを迎え、我々は鳥源を出た。

伊丹の駅に向かいふらふら歩く。
と、「もう1軒行きましょかぁ」という流れになり、適当な店に寄った。
「それにしても、あの手羽先は焦りましたね」。
「ラーメンも良かったですよ。またあのラーメンを食べたいです」。
「コースよりも単品で好きなの注文する方がいいかも知れませんね。コースに入ってないメニューも食べたかったし」。
鳥源の感想を言い合い、4人でまた乾杯…なのだが、気に入らない。
いつもいつも遅刻するAさんが気に入らない。
これからも飲み会のたびに遅刻するのだろうか?
まぁ、するのだろう。
これからも、俺は彼のマイペースさに付き合わされるのか?
まぁ、されるのだろう。

ムカムカしながら酒を飲み、1時間ほどしてお開き。
レジの前で、Aさんがまとめて精算する。
「Aさん、ひとりいくらですか?」。
「2,000円です」。
俺は「万札しか無いんちゃうか?」と思いながら財布の中をまさぐる。
と、「krmさんは結構ですよ。タクシーで来て、帰りもタクシーなんでしょ?タクシー代の足しにして下さい」。
財布をショルダーバッグに入れながら、「許す」。
「すべてを許す」。
心の底からそう思った。

他人の過ちを許す寛大な心。
これからも、それを持ち続ける人間でありたいものです。

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