(127)鳴門と俺。四国の片隅を走り、思い出したこと。-2

朝の早よからロードバイクに乗って、鳴門スカイラインを走る俺。
登ったり下ったりで疲れる。
出発から1時間もたっていないのに、既に帰りたい。
切実に。

惰性で進むと、道路の真ん中に何かが見える。
嫌な予感しかしない。
俺は目が悪いので、最初は何かわからなかったが、近付くにつれ、少しずつ見えてきた。
「!?」
最初、白熊かと思った。
白い大きな犬が2匹、道路の真ん中で寝転がっている。
「襲ってけえへんよな…?」と、びびりながら犬の横を通り抜けようとした時、左手にコテージかレストランかわからないが、何かの建物が見えた。
「おそらく、あそこの飼い犬やな」と思い、ほっとする。
淀川サイクリングロードで、野生化した犬に追いかけ回されて以来、自然の中で犬を見ると身構えてしまう。

ひたすらクランクを回す俺。
峠と峠を結ぶ、四方見橋を駆け上がる。
「絶景やなぁ」、「高い所って、怖いなぁ」などと、のんきな観光気分にはなれない。
嫌がらせに近い傾斜。
「辛い」
「きつい」
「死にたい」
「辛い」
「きつい」
「死にたい」
そう唱えながら、テンポよくダンシングで登りきった。
耐えた…。
サドルの上には、両手を突き上げ「ヴィクトリー!!!」と叫ぶ(心の中で)俺と、「二度とここには来ない」と誓う俺がいた。

この後、下りが続く。
ちょっとプロになった気分で下り続け、自分大好きの快感を得る。
下りきってからは、大塚国際美術館の辺りで、景色を見ながら休憩した。
毎度のことながら、「俺はひとりで何をしてるんやろ?」と思う。

左手に海が見え、広く走りやすい平坦路を進みながら、俺は鳴門の市街地に向けて進んだ。
この道、未だに自分でも理解できないのだが、時々、夢に出てくる。
夢の中で、この道を走り続けると、右手に豆腐屋が見え、俺は店の前にロードを寝かし、店員に言うのだ。
「ごま豆腐ありますか?」と。

鳴門の市街地に入り、どこに行くあてもなく、なんとなく鳴門駅に着いた。
スマホの時計を見ると、朝の9時前。
鳴門スカイラインを地獄的に満喫したので、感覚としては夕方に近い時間なのだが、実際は違った。
全然、時間が進んでいないではないか。
一緒に来たNさんが釣りを終えるのは、15時の予定だ。
時間が余りすぎて困る。
途方に暮れた俺は、駅の中をうろうろした。
「どっかに観光MAPがあるやろ」と思い、それを探したのだ。

余裕であった。
観光MAPが。
その中から、待ち合わせの15時までに行って帰れる所。
しかも、なるべく興味がひかれる場所を見つけ、そこに行くのだ。
時間を潰さなくてはならない。

「これからの予定を組もう」。
観光MAPを広げ、俺は鳴門市と向き合った。

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