(128)鳴門と俺。四国の片隅を走り、思い出したこと。-3

朝の9時前。
鳴門駅前で、ひとり、観光MAPを見て検討する。
15時まで、どこで時間を潰そうかと。

観光MAPに目を通すと、「ドイツ~~」という文字がちょこちょこ見受けられる。
「鳴門とドイツ?関係あんの?あ、そかそか」
思い出した。
かなり前に、「バルトの楽園」という映画を観た。
主演:松平健
ドイツ人捕虜と鳴門市民の交流があり、日本で初めて「交響曲第九番 歓喜の歌」が演奏された。
その様子を描いた映画だ。
鳴門には、第一次世界大戦におけるドイツ人捕虜の収容所があったのだ。

うん、ドイツ関連の観光地に行こう。
調べてみると、鳴門市ドイツ館は、入場料がかかるのでパス。
同じ方面に、ドイツ村公園という捕虜収容所の跡地があり、「公園なら、無料やろ」ということで、目的地決定。

鳴門駅から、ドイツ村公園までの距離、ルートを確認すると、Nさんと待ち合わせをしている時間、15時までには余裕をもって帰ってこれそうだ。
俺は、ペダルに右足のビンディングシューズをはめた。

鳴門は、大阪や神戸と違い、少し走ると、道の両サイドは田畑。
家も少なくなり、自然を身近に感じる。
俺は、クランクを回しながら、思った。
「何かひっかかる」。

何にひっかかるのかと言うと、ドイツ村公園までのルートを確認した時に、目に入った駅名。
「教会前」だ。
歴史の表舞台に出たわけでもなければ、教科書にも載らない。
また、鳴門の地理に疎い俺には、片田舎のただの駅。
そんな教会前駅が、何故か身近に感じられる。
何故?

もやもやした気持ちを抱えたまま、俺は走り、ドイツ村公園に着いた。
「ぱっと見、普通の公園やん。ほんまに観光地か?」と思いながら、ハンドルに手を添えて、ロードバイクをひきながら、歩いて公園の入口をまたぐ。

人がいない。
誰もいない。
「まぁ、平日の朝から公園をうろうろする人なんて、そうそうおらんわな」と思いながらも、「平日の朝から俺は公園をうろうろしてるよな」とも思う。
気を取り直して、「せっかく来たんやし、公園の隅々を見て回ろう」と歩きだした瞬間、弾丸のような物が横切った。

嫌な予感がする。
ハンドルをひいて歩く俺の近くを、また、何かが横切った。
まわりを注意深く監視する。
緑に囲まれた公園に、飛翔する物体。
お、ついにロックオン!

スズメバチだった。
俺、こういうの、本当に無理。
嫌。
生死を賭けてまで観光したいとは、微塵も思わない。
全然、楽しめない。
帰ることにした。

ドイツ村公園。
滞在時間、2分。

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