(729)幻の…ロードバイクに乗って高松1泊2日の旅

盆休みに入る数日前のこと。
仕事中、仕事をしているふりをしながらさぼっていると、ポケットの中に振動を感じた。
「何や?メールか?」。
スマートフォンを取り出し、確認。
メールの通知には、Nさん(50代 男性)の名前があった。

何度もこの不人気ブログに登場しているNさん。
彼の趣味は釣りで、鳴門や淡路島へ釣りに行く際、ついでに俺も(ロードバイクも)車に乗せてくれる有り難い人だ。

「で、何や?やっぱり、いつも通り『鳴門に行きませんか?』ってお誘いか?」。
メールに目を通す。
「なになに?『盆休み中に鳴門へ行きませんか?1泊2日で計画しています』と」。
「はぁ…」。
自然に溜め息がこぼれる。
今はコロナ、コロナで自粛ムードが漂うご時世。
不要不急の外出、移動を控えるべき時だ。
にも関わらず、釣り目的で他県に遠征?
「ほんま、Nさんの人格を疑うわ…」。
「はぁ…」。
また溜め息を吐いた後、俺は返事を送った。
「はい、行きます」と。

誘われたら仕方が無い。
相手の面子もある。
ちなみに、Nさんと鳴門に行く際は、いつも早朝に集合。
車にロードを積んで、出発。
日が開ける少し前、渡船が出発する時間に合わせて鳴門到着。
俺はロードに乗って適当に走り回り、Nさんは釣り。
お互いの趣味を満喫した後、また合流して家に帰る。
とまぁ、基本的に日帰りを前提としたスケジュール。
しかし、今回は違う。
「1泊2日」は、俺の魂を揺さぶるのに十分すぎるキーワードだ。

「1泊2日かぁ」。
必死に仕事と向き合う…ふりをしながら、旅の計画を立てる。
まず、1日目の朝、Nさんが釣りを始める時間(おそらく5時)から、2日目、Nさんが釣りを終える時間(おそらく15時)までが、俺にとっても自由時間。
それを有効に使いたい。

「一仕事終えたぜ…」と、仕事など何もしていないのに少し疲れたふりをしながら考える。
鳴門からスタートして、どこまで走るか?
「うん、高松やな」。
即決。
これまでも、高松には何度か訪れている。
ただ、時間の関係で、着いたらすぐに引き返す…パターンが多く、うどんや骨付き鶏を堪能できなかった。
が、今回は違う。
「1泊2日」なのだ。

楽天トラベルをチェックする。
「うん、いけそうやな」。
盆休み中でも、まだ予約の埋まっていないホテルが多く見られた。

後は日程だ。
Nさんからは「盆休み」という大雑把な範囲で誘われたが、具体的な日にちを決めておきたい。
ホテルを予約するために。

「盆休みの何日に出発します?」。
Nさんにメールを送る。
お互いに都合を言い合い、二転三転したが、とりあえず決まった。
「わかりました。その日でOKです。自分は鳴門から高松に出て1泊しますので、ホテルを予約しますわ」。

また仕事に向き合っているふりをして、パソコンで楽天トラベルを閲覧していると、Nさんからメールが入った。
「krmさん、ちょっと待って下さい。天気予報を確認しましたが、雨ですね」。
そう言われ、「あぁ…。日程、ちょっとずらさなあかんかぁ…」。
スマホで鳴門と高松の天気予報を確認する。
と、「雨…。10日連続ぐらい雨…」。
凄まじい勢いで雨マークが並ぶ画面に、俺は言葉を失った。

「krmさん、延期しますか?」。
「はい…」。

結局、近所のサイクリングロードを走るだけの、普段と代わり映えの無い盆休みを過ごした。

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