(18)「××死体遺棄」「××心霊スポット」不幸すぎるサジェストトンネル

ロードバイクに乗って旅に出ると、時々、「怖い」と感じることがある。
例えば、トンネル。
何度かくぐった経験があるトンネルは、明るさや長さ、道幅を把握しているので、気持ちに余裕が持てる。
逆に、初めてのトンネルは怖い。
ひとり、四国のある山深い地域に初めて行った時のことだ。

山を登ったり下ったりした後、平坦な道に出た。
しばらく進むとトンネルがある。
入口からすぐに出口が見える短いトンネルだったので、ここはセーフ。
さらに進むと、次のトンネル。
入口からは出口が見えなかったので、出口まで少々距離があるのはわかった。
覚悟して進んだところ、交通量が多いせいで危険だし、トンネル内に車の音が反響して恐怖を増幅する。
途中、生きた心地がしなかった。
ここはアウト。

そして、しばらく進むと、また次のトンネルが。
気持ちの整理をしようと思い、トンネルの手前で停止する。
ぼけ~っとトンネルの入口を見ると、脇にあるプレートに「延長◯◯メートル」と記載があるではないか。
これで出口までの距離が把握でき、少し気分が楽になった。
なるほど、トンネルに入る前、プレートを確認すればよいのか。
問題なくくぐり抜けることができた。
セーフ。

この日計画していたサイクリングで最後となるトンネルが出現。
手前で停止し、プレートを探したが、無い。
そこで閃いた。
「グーグルマップで現在地を確認したら、トンネルの名前がわかる。そして、トンネル名で検索すれば、出口までの正確な長さもわかる」と。
俺は天才かと思った。
さっそく現在地を確認する。
トンネル名がわかった。

「××トンネル」。
次に、検索窓へ「××トンネル」とうちこんだところ、ゾッとした。
「××トンネル 死体遺棄」
「××トンネル 心霊スポット」
「××トンネル 殺人」
不幸すぎるサジェストのオンパレード。
「勘弁してくれよ」。
知りたくない情報まで知ってしまったよ。

ホテルを予約しているので、ここで引き返すわけにもいかない。
迂回路を調べてその道で行くことも考えたが、時間と体力と精神力を今以上浪費するのは避けたい。
仕方ないのでビビりながらトンネルに入ったが、やるせない気持ちでいっぱいになった。
結局、心霊現象も何もなかったが、精神的にアウト。

ホテルに着き、近所の居酒屋で酒を飲みながら、帰る予定である次の日のスケジュールを考えた。
あの絶望サジェストトンネルを回避するルートで行くかどうか。
飲んでるうちに、だんだん考えるのが面倒になり、いろいろと心が折れた気分になる。

翌日、俺はロードバイクを輪行袋に収納し、電車で帰ることにした。

※この記事は、2019年1月25日、俺が別のブログに投稿した文章を、加筆、修正したものです。

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