(951)夢であってほしいと願う。-1

つい先日の話。
仕事を終え、俺は飲み屋で羽を伸ばした。
店のマスターと世間話をしながらハイボールを飲み、軟骨の唐揚げと共に幸せを噛み締める。
「明日、仕事、休みやわぁ」
「俺、明日、やっと休みやわぁ」
「ついに来たね…」
「ついに、俺の時代が来たね…」

ほろ酔い気分で飲み屋を後にし、コンビニへ。
ウィスキーをカゴに放り込んで、また幸福感に包まれる。
「あぁ、明日は休みなんや。今晩はとことん飲もう」
「家でひとり飲み会をしよう」
腹は減っていないが、BIGポークフランクも買って帰った。

布団の上であぐらをかき、ウィスキーをチビチビと飲みながら、自分自身に語り始める。
「お前、ほんまに頑張ってるよ」
「ほんま、仕事、頑張ってるよ」
「人から評価されなくても…や。俺は評価するよ。俺はお前を評価するよ」
「頑張ってるお前には、ゴロゴロ、ダラダラする権利がある」
「明日はな、せっかくの休みや。丸一日ゆっくりしろよ」

これまで、仕事において数々のプロジェクトに携わった。
まぁ、終盤に差し掛かったタイミングで、全体がドタバタしてしまい、その煽りを受けた経験は何度もある。
が、今回は中盤からズンドコ。
苦労に苦労を重ね、ゴールが見えたところで、やっと…なのだ。
俺は丸一日休める機会を得た。
「うん。明日、ゆっくりするよ」

と、幻聴だろうか?
「ブー、ブー」
何か、嫌な音が鳴っているような。
「ブー、ブー」
音の出所はちゃぶ台…に置かれたスマートフォン。
気のせいだろうか?
バイブが振動しているような。
一応、画面を確認する。
幻覚だろうか?
取引先のAさん。
彼の名前が表示されているような。

「夢であってほしい…」。
そう願いながら、「お世話になっています。krmです」。
電話に出ると、「お疲れ様です!いやぁ、こんな時間に申し訳ないんですけどねー!」。
全然申し訳なさそうではない、Aさんの声が聞こえた。

「いやぁ、krmさんにお願いがありましてね!急で申し訳ないんですけどねー!」
「はぁ…」
「○○さんとこの対応が遅れてるんで、krmさんにその作業のですね、一部をお願いしたいんですよ」
「はぁ…。具体的には…?」
「まず、××書と△△書を書いて下さい!」
「期限はいつですか?」
「そうですねぇ。××書については、明日の朝まで…ですね!」
俺は引っくり返りそうになった。

「Aさん、その『朝』ってのは、具体的に何時ですか?」
「はい、『9時』ですね!」
「あの、今、自分は家で飲んでまして…」
「分かってますよ、そんなこと!そんなこと、分かってますとも!」
「はぁ…」
「まぁ、××書の対応なんて、1時間から2時間もあればできる些細なことですよ!」
俺は頷きながらも、「ほんまに『些細なこと』なんやったら、そっちで処理したらええやん…」と思った。

夜道をと歩き、会社へと向かう。
「はぁ…」
Aさんから無茶な要求を求められたのは、今回が初めてではない。
「勘弁してくれよ…」と思いながらも、こちらが助けてもらったこともあるし(たまに)、仕事とは別に、飲み友達という関係があるため、「頼まれたら仕方が無いよなぁ」。
いつも、そんな気分になる。
ただ、作業の依頼は、直接連絡してくるのではなく、Aさんが所属する部署の責任者なり社長なり、上を通してもらいたい。
毎度毎度のことだが。

日付が変わる少し前。
誰もいない、真っ暗なビルの階段を上がり、鍵を開けて作業部屋に入る。
「とりあえず、酔いを覚まそかぁ」と、水を一気飲み。
まぁ、それぐらいで頭がすっきり…もしないので、特に意味も無く…だ。
デスクの前で屈伸を繰り返した。

つづく

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