(966)ロードバイクには乗らず、友ヶ島を歩く~幻の休肝日に~

休日出勤の上に徹夜。
いつもなら、ふてくされながらも「何て可愛そうな僕ちゃん…」。
そう思い、自己愛に満たされるわけだが、この日は違う。
取引先から緊急対応を依頼され(連発で)、俺は苛立っていた。

仕事を終えたのは、13時過ぎ。
家に帰り、ゴロゴロしながら自然に眠りに入りたい…ところだが、気が立っているせいなのか。
もう、動きたくて動きたくて仕方が無い。
体を動かしたくて仕方が無い。
というわけで、ジャージに着替えて近所のサイクリングロードへ向かう俺。

クランクを回しながら思う。
「今日はボロボロになるつもりで走ったれ」
「気が収まるまで走って、走って、体を疲れさせて、帰ったらすぐに寝たらええ」
「そうや。毎日毎日、何か理由を付けては酒を飲んでるけど、今日、すんなり寝たら休肝日になってええわ」
「OK。今日は休肝日や」

汗だくになって家に戻る。
「さてと」
水風呂に入り、体も気分もすっきり…したのが裏目に出たのかも知れない。
布団の上に寝転がっても、頭すっきり。
睡魔が襲ってこない。
まったく。

ゴロゴロしながら退屈な時間を過ごす。
枕元に置いたスマートフォンに手を伸ばそうとしたが、ダメだ。
ダラダラとネットを閲覧…は、余計に眠れなくなる。
ダメだ。

引き続き、布団の上で無駄な時間を過ごす。
睡魔が襲ってくるのを心待ちにしているが、何の音沙汰も無い。
「参ったなぁ」
「ほんま、退屈やわ…」
「あぁ…」
無意識のうちにジョギング用のジャージに着替え、自然と足が向いた。
飲み屋に。

「とりあえず、瓶ビールを」
グラスにビールを注ぎ、口に含む。
「別に腹は減ってへんけど、何か食わななぁ」
メニューに目をやり、ビールをまた一口。

と、「お疲れ様です」。
声を掛けられ、振り返る。
そこに、Nさん(50代 男性 趣味は釣り)がいた。
鳴門へ真鯛を釣りに行く際、ついでに俺(とロードバイク)も車に乗せてくれる人だ。
「どうも。お疲れ際です」

「最近はどうですか?」
半笑いのNさん。
「サイクリングチームのみんなと、どこかへ遠出しましたか?」
性格の不一致により、何の活動もしていないどころか、連絡すら取り合わない。
そんな、我がサイクリングチーム(俺を含めて3人)の実態を知った上で、彼は意地悪な質問をしてきた。
「いやぁ、特には…」
そう答えつつも…だ。
とにかく、早急に話題を変えたい。
「Nさんは、どうですか?最近、鳴門には行きました?焦るぐらい真鯛を釣りまくったとか」
「いや、鳴門には行ってないですね。ただ、この前ね…」

Nさんの話が始まる。
「この前ね、ちょっと用事があって、和歌山に行ったんですよ」
「ほぅ」
「帰りにね、ドライブがてら、和歌山城の辺りを走って、和歌山ラーメンを食べて」
「おぉ、いいですねぇ」
「前、krmさんが言ってた『まるイ』で食べたんですけど、ネギがいっぱいで美味しかったです」
「あそこ、美味しいですよね」
「その後、『加太』へ向かったんですよ。あそこ、真鯛が釣れるんで、その偵察ってことで」
「あぁ…」

加太は、和歌山市の港町。
左手には山。
山の麓には商店や民家がぽつぽつと並び、右手に見えるのは港。
潮風を受けながら、ただクランクを回す。
と、グラスを持ったまま妄想する俺であった。

ではなく、何だろう?
おそらく、ロードに乗る趣味を持ってからだ。
「最近、出張で○○に行ってなぁ」や、「この前、××に旅行したんやけどなぁ」。
そんな話を聞くと、その場所で走る自分をイメージしてしまう。
そして、「俺も行きたいよなぁ」と思う。

「あの、Nさん。もしも…ですよ」
「はい」
「近いうちに…ですね。もしも、ほんまに加太で釣りをするなら、自分にも声を掛けてもらえますかね?」
「それは問題無いですよ。白浜辺りまで走ろうと思ってるんですか?」
「いやぁ、白浜はちょっと分からないですけど。とにかく、加太に行く話、前向きに検討してほしいです」
「はい。じゃあ、また連絡しますので」

つづく

いつも読んでくれて有り難うございます。
また、話が始まり、長々と続きます。
これからも宜しくね。
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