(970)ロードバイクには乗らず、友ヶ島を歩く~真鯛を釣る(俺ではない)~

6時過ぎ。
足元を走り回るフナムシに、ただ怯える俺。
隣には、釣糸を垂らすNさん(50代 男性)とYさん(50代 男性)。
「こんな気持ち悪い状況で、よく釣りなんかやってられるよなぁ」と思う。

ふたりの近くで立ち尽くしたまま、しばらく水面を見詰める。
「何か、大きい魚がおるなぁ」
「あれは何って魚やろ?」
「まぁ、何でもええから、釣ってくれへんかなぁ」
「退屈でしゃーないわぁ」
自然と、眠たくなってきた。

眠い。
寝たい。
着ている服は、どうせ安物だ。
汚れてもいい。
この場で寝転びたい。
しかし、辺りはフナムシだらけだ。
バルサンを焚きたい。
が、そういうわけにもいかない。

「喋って口を動かしてたら、退屈しのぎになるし、頭もすっきりするよなぁ」
そう思い、釣竿を握るNさんに話し掛ける。
「あの、今日は釣れそうですか?」
「それは、分からないですね」
「俺、友ヶ島に乗るフェリーが9時なんですよ」
「はい」
「でね、8時ぐらいに、フェリー乗り場へ向かうつもりなんですけどね」
「えぇ」
「8時までに、真鯛、釣れますかね?」
「う~ん、なんとも…」
「釣ったところを見たいんですけどねぇ」
「なんとも…」

Nさんと向き合い話していると、彼の向こうに立つYさんが、急にトリッキーな動きを始めた。
「何を慌ててんやろ?」と同時に、「まさか…」。
Yさんは、釣りの経験があるといっても、初心者に毛が生えた程度…のはず。
内心、「この人は釣れんやろ」と思っていたが、その「まさか…」だ。

水面に目を向ける。
そこには、右へ左へと力強く動き回り、もがきまくる赤い影。
「おぉ…」
心の中で念じる。
「Yさん、頑張れ!Yさん、頑張れ!」
と、「ちょっと貸して」。
Yさんの釣竿をNさんが持ち、結局、釣り上げたのはNさん。
こういう場合、誰のお手柄になるのか分からないが、とにかく真鯛が釣れた。

「締めな、締めな。ナイフどこや?ナイフ、ナイフ」
バタバタするNさん。
彼の横で、「何か手伝った方がええかな?手伝うこと、無いかな?」。
考える。
しかし、俺には釣りの経験値が少なすぎる。
うん。
ただ何もせず、ぼけっと突っ立つのみ。

そして、突っ立ったまま、締められる真鯛の様子を見る。
「ちょっと大人しくなったな」
「さっきまで、めちゃめちゃ暴れまくってたけど」
「ほんま、すっごい生命力やで」
「この命を頂くんやからなぁ、食事する時は、生き物に感謝せなあかんな」
「まぁ、俺、魚はあんまり食べへんけどなぁ」

つづく

いつも読んでくれて有り難うございます。
これからも読んでもらえたら嬉しいです。
宜しくね。
押してね。
↓↓↓↓↓

にほんブログ村 旅行ブログ 国内ぶらり旅へ
にほんブログ村

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする