(972)ロードバイクには乗らず、友ヶ島を歩く~不安と不安と不安…~

「ほな、友ヶ島に行ってきますわぁ」
釣竿を握り、水面を見詰めるNさん(50代 男性)に声を掛けると、「行ってらっしゃい」。
俺には目もくれず、彼はそう応えた。

フェリー乗り場へと歩き始めたが、足取りは重い。
「俺、ほんまに乗れるんやろか?」
「フェリーに乗れるんやろか?」
「乗られへんかったら、どうしよ…?」
そんな不安に駆られる。

フェリーの定員は100名。
この日は、平日の水曜。
乗船券は余裕で買える…と思うが、既に夏休みに入っている。
子供連れの家族が、たくさん詰め掛けているかも知れない。
「でも、大丈夫やろ」
そんな気がする。
しかし、友ヶ島を訪れるのもフェリーに乗るのも今回が初めて。
勝手が分からないため、どうしても不安を払拭できない。

海岸沿いの道路。
足を止め、スマートフォンに目をやる。
「7時40分か」
「多分、8時ぐらいにはフェリー乗り場に着くなぁ」
俺が乗る予定の第一便は、9時発。
出航の1時間も前に、フェリー乗り場に着けば、余裕で乗船券を買えるはず。
「うん、大丈夫やで」
そんな気がした。
ただ、繰り返すが、今回が初めて。
勝手が分からない。
「もし、乗られへんかったら…」
ぶり返す不安。

9時の一便に乗れなかった場合、二便は11時。
「待ってる間、2時間も何したらええねん…?」
気が滅入る。
また、一便に乗れず二便で友ヶ島に渡った場合、観光を始める時間が遅れるため、その分、帰ってくる時間も遅れる。
となると、加太で釣りをするNさんとYさん(ともに50代 男性)に迷惑を掛けるかも知れない。
彼らには彼らの予定があるだろう。

「参ったなぁ…」
「ほんま、参ったよ…」
トボトボ歩いていると、道路の脇に友ヶ島汽船の看板。
「友ヶ島汽船 ↑ ここ左方向」
指示に従い、小さな川を渡り、民家に挟まれた細い道を進む。

「車一台通るんがやっと…やな」
「何やろ?人が住んでんのかどうか分からん家や、開いてるかどうか分からん店がちょこちょこあるなぁ」
「てか、これ、ほんまに合ってんのか?道、合ってんのか?」
「普通の田舎町にしか見えんけど、ほんまに、この先にフェリー乗り場があるんか?」
「フェリーに乗れるか以前に、フェリー乗り場へたどり着けるんやろか…?」
更に不安を覚える俺。

「あっ」
看板が目に入った。
「友ヶ島汽船↑」
どうやら、道は合っているようだ。
ただ、いまいち信用できない。
俺は根が腐っているからか、「看板、フェイントちゃうんか?」。
どうも、疑ってしまう。

Googleマップを確認すると、フェリー乗り場への方向は合っているし、少しずつ近付いている。
「一応、フェイントちゃうみたいやな」
看板の指示に従って進む。

「この煙草屋、長いこと閉めてるみたいやなぁ」
「見た感じ、えらい年季入ってるわぁ」
「店の前の自販機も、長いこと稼働してへんみたいやなぁ」
「文化財として保護すべきやで」

ひとり考えながら進むと、また看板。
「友ヶ島汽船→」
矢印の方向に曲がる。
「え?」
目の前に広がる空き地。
近くに工場らしい建物がぽつんと建っているため、工場の空き地か。

「ここがゴール?」
「フェリー乗り場?」
おかしい。
俺がイメージするフェリーに乗る環境。
それがどこにも無い。
「どういうことや?看板はトラップやったんか?」
「くっそ…」

気持ちを落ち着けようと、ペットボトルの水を一口。
そして、目を細めて辺りを見回す。
と、見えた。
「あの、白いのはフェリーか?」
胸が高鳴り、小走りで近付くと、見えた。
フェリーも乗船券売場も売店も、見えた。

つづく

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