(1032)本とカレーそば。40代独身男性の休日。-3

店先に張られたメニューに目を通すと、「肉そば」が気になる。
どうも気になる。
きっと美味いだろう。
しかし、ここはひとつ「スタミナそば」にしよう。
俺にとって、スタミナそばは特別な存在。
基本中の基本であり、王道でもあり、とにかく特別なのだ。

出汁に浮かぶ天ぷらと玉子。
それらを鉢の隅にそっとのけ、まずは出汁をすする。
ほんの少し。
続いて、そばを軽くすする。
ここで重要なのが、必要以上に音を立てないこと。
まぁ、俺は気にならないが、世の中には不快感を覚える人もいるそうだ。
音に対して。
さて、そばを半分ほど食べると、「いいねぇ」。
出汁に浸かった天ぷらは、衣が剥がれてフニャフニャ。
ボロボロ。
「うん、いいねぇ。そこがいいねぇ」
そばと絡めて食う。
チープな天ぷらとチープなそばの相性。
「あぁ…」
立ち食いそばの醍醐味ではないか。
「あぁ…」
心が満たされる。
そして、鉢に目を戻すと、出汁に浮かぶ玉子。
「さぁ、最高のフィニッシュが迎えよう」
本当の意味で幸福感に包まれるのはこれからだ。
敢えて潰さずに残しておいた玉子。
大切に守り抜いた玉子。
鉢を持ち上げ、それを口に含む。
トロッと。
更に鉢の角度を上げ、出汁も流し込む。
口の中は、玉子と出汁。
舌で玉子を潰し、出汁と共に飲み込む。
ほんの一瞬ではあるが、味わい深さを感じ、贅沢な気分になる。
「あぁ…」
俺はそっと鉢を置き、「親父、また来るよ」。
店を出た。

以上のシミュレーションを終え、暖簾をくぐる。
「いらっしゃいませ!こちら、どうぞ!」
コの字カウンターの向こうから、若い男性店員の笑顔。
「何にしましょ?」
注文を聞かれ、「ス…」。

「ス…」と言ったところで、「ちょっと待て」。
もうひとりの自分が囁いた(脳内で)。
今の俺は、薄着。
寒さに苦しんでいる。
だからこそ、温まる食べ物を求め、立ち食いそば屋を訪れた。
そこで、スタミナそばを食べて温まる。
結構なことだ。
ただ、今の俺にとって最良の選択は「カレーそば」ではないか?
温かい上に辛いものを食べた方が、手っ取り早いのではないか?

「ス…、カレーそばで」
「はいよー!」
店員に対し、何かフェイントをかけたようで申し訳無く思う。
「ごめんな。俺、悪気は無いねん」
心の中で謝っていると、「お待たせしました!」。
目の前に、カレーそばが置かれた。

つづく

読者の皆様へ。
ロードバイクとは何の関係も無い内容になりましたが、ご容赦下さい。
書いている途中で、「ブログの趣旨は何やったっけ?」と何度も思いました。
ただ、もう書き終えてしまったので投稿します。
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