(22)伽羅橋交差点で思い出す。初めてプロレス観戦をした日。-1

うちの墓は、大阪府のずいぶん南、和歌山県に近い場所にある。
俺が住む西宮市から、往復で120~130㎞程度。
遠いことは遠いが、ロードバイクで行こうと思えば、十分可能な距離である。
月に1回程度のペースだが、墓参りを兼ねたロングライドを、俺は楽しんでいる。

前回、墓参りに行った時のことだ。
いつも通り、西宮市から尼崎市を経て、淀川を越えて大阪市に入り、南下する。
その際、堺市、高石市を通過するのだが、伽羅橋交差点で信号待ちをしていると、「なんでやっけ?」と独り言を言いそうになった。

交差点名標識を見ると、「伽羅橋」とある。
これを「きゃらばし」と読む。
何故、俺はそれを知っているのか?
俺はそんなに博識なのか?
違う。
きっと、俺は何かの用事でこの辺りに来たことがあるはずだ。
その時に、印象的なこの地名を記憶したのだろうが、何をしに来たのか覚えていない。
それがひっかかり、ロードバイクに乗っている間、思い出そうと努力した。

俺レベルでは、「伽羅橋」を「からばし」と誤って読む。
ところが、「きゃらばし」という正解を知っている。
「映画か小説の舞台になったのか?」
「地理の授業で習ったのか?」
地理の授業で思い出した。
中学の社会科の教師、Y先生に教えてもらったのだ。

中学1年の俺は、プロレスをいつもテレビで観ていたが、一度、生観戦してみたいと思っていた。
週刊プロレスを読んで、各プロレス団体のスケジュールを確認したところ、あった。
近々、大阪臨海スポーツセンターで新日本プロレスが興行を打つ。
行くしかない。
プロレスに精通しているクラスメイトを数人誘ってみるが、部活があるので無理とのこと。
なら、ひとりで行くしかない。
それを母親に伝えると、どうも格闘技の興行にはガラが悪い客が多いという偏見を持っているようで、いい顔はしなかったが、最後にはしぶしぶ承諾してくれた。

当日、学校にいても授業どころの騒ぎではない(俺の中で)。
6限目が終わり、焦りながら教室の掃除をしていると、Y先生が入ってきた。
眼鏡をかけているがガリ勉風ではなく、背が高くスポーツマンで、年齢も若いY先生は、生徒にとって話しやすい先生だった。

実は、大会当日この時点において、俺は、大阪臨海スポーツセンターがどこにあるのか知らなかった。
丁度いい。
先生に聞こう。
「先生、僕、今日、プロレス観に行くんです」
「そうか?新日か?全日か?」
「新日です。それで、場所が大阪臨海スポーツセンターいうとこなんですけど、どこにあるんですかね?大阪やいうのはわかるんですが」
「まず難波に出てな、南海に乗って羽衣まで行って乗り換えるんや。それでな、伽羅橋の次、高師浜で降りたらええ」と乗り換えについてまでレクチャーを受けた。
この時に初めて「きゃらばし」という地名を知って、頭に残っていたんだ。
本当にすっきりした。

すっきりしたのはいいが、途中でお墓に供える花を買うつもりだったのに、すっかり忘れてしまったよ。

※この記事は、2019年1月27日、俺が別のブログに投稿した文章を、加筆、修正したものです。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする