(202)挨拶は大事-2

ロードバイクに乗って、初めて挨拶をされたのは、淡路島を走った時だったと思う。
知らないロード乗り(対向車)が、俺に向かって軽く手を挙げてくれた。
彼は、ヘルメットを被り、サイクルジャージに身を包んだ、いかにもな感じのロード乗り。
方や俺は、ノーヘルでジョギング用のジャージを着た、その辺のおっさんという風貌。
「マジ!?こんな俺を、仲間と、ロード乗りと認知してくれたのか!?」。
妙に嬉しくなり、その日、ロード乗りとすれ違うたびに、俺の方から軽く手を挙げた。

クロスバイクに乗っていた頃は、挨拶などされたこともなかった。
俺なりに、スポーツとしてクロスバイクと向き合っていたが、他人からすると「その辺のおっさんが移動してる」。
その程度にしか見えなかったのだろう。
ところがどっこい、ロードに乗るだけで、挨拶されるようになるとは、俺もえらく出世したものだ。

淡路島から帰り、近所のサイクリングロードを走っていても、知らないロード乗りと挨拶を交わす機会が増えた。
ある日、向かいから走ってくるロード乗りに、挨拶をされる。
「こんにちは」。
勿論、俺も気持ちよく挨拶を返したが、すれ違い様、相手は「え?」というリアクション。
クランクを回しながら、「俺、なんか変なことしたっけ?」と考えたところ、しばらくして謎が解けた。
挨拶をしてきた人は、俺のすぐ前を走るロード乗りの知り合いで、俺ではなく彼に対して挨拶をしたのだろう。
そこで、「誰やこいつ?」という存在の俺から挨拶が返ってきたと…。
合点がいった。
「ふぅ、とんだ赤っ恥をかいたぜ…」。
正直、俺は気落ちしたが、挨拶をすること自体は良い習慣なので、継続を心掛ける。

数ヶ月後、鳴門~高松間を走る。
朝の5時から走り出し、7時頃になると、自転車通学をする中学生や高校生を目にするが、彼らは挨拶の対象外だ。
ロード乗りではないし、下手に声をかけてしまうと事案に発展する。
不審者と思われるのも、裁きを受けるのも嫌だ。
かと言って、挨拶をする相手を探しても、平日の朝に走っているロード乗りを見掛けない。
挨拶をしたくてウズウズする俺。
高松から鳴門に戻る道のりも同様、ロード乗りを見掛けない。
「この辺りは、ロード人口が少ないんかな?」と考え込んでいると、ついに発見。
いつも俺を鳴門に連れてきてくれるNさんとの待ち合わせ場所、渡船場に近い道だったと思う。
「来たよ、来たよ!ヘルメット、アイウェア、サイクルジャージを装備した、いかにもロード乗りが向こうから走って来たよ!」。
長身で、かなり細い男性ロード乗り。
弱虫ペダルの御堂筋くんを彷彿させる。
満を持して、俺は軽く右手を挙げた。
「御堂筋くん、無視はやめてね」と念じながら。
俺の挨拶に気付き、御堂筋くんも俺に向かって手を挙げてくれた。
「ありがとう、御堂筋くん!」と、俺は心の中でつぶやいた(小野田くんの声で)。

こうして、知らないロード乗りと挨拶を交わすことも、ロードに乗っていて感じる、ロードの魅力なのかも知れない。

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