(271)難波へ。そして、Y’sロード大阪ウェア館へ-2

中国語を話す集団と何度もすれ違いながら、傘をさして堺筋を歩く。
学生時代、この辺りのローソンでバイトしたり、社会人になってからもこの辺りの会社に勤めたが、懐かしむ気など一切無く、早足で歩く。

「腹減ったわぁ」。
信号待ちをしていると、自然にそんな言葉がこぼれた。
考えてみれば、朝から何も食べていない。
信号を渡ってちょっと行ったところに、ローソンが見える。
何か適当なものを買って食おうかと、寄ってみて、焼おにぎりをレンジで温めてもらった。
「世の中にこんなうまいもんがあったんか!?」。
冗談抜きで、魂が揺さぶられまくった。

中国人観光客で賑わう繁華街から、オフィス街に入ると、急に活気が無くなった気がする。
スーツ姿の人をちらほら見掛ける程度。
就業時間を過ぎた、薄暗いビルとビルの間を歩いていると、景色が変わらず自分がどこにいるのかわからなくなった。
そこで、Googleマップ。

Y’sロード大阪ウェア館が見えてきた。
明るい。
入店する前に、何を買うか頭の中を整理する。
「サイクルキャップを買う」のだが、「ツバなし」にしよう。
実は、俺はひとつサイクルキャップを持っている(自転車雑誌の付録)。
ただ、ツバありにはどうも違和感があって、使わずに保管している。
どうも、あの短いツバは、野球の審判の帽子のようで、あまり格好いいと感じない。
「なら、一層のこと、ツバなしでいいんじゃないか?」となった。

入店する。
「いらっしゃいませ」。
「いらっしゃいませ」。
数人の女性スタッフの明るい声。
萌えずに、冷静になってサイクルキャップ売場を探す。
陳列されたジャージを横目に進むと、お店の奥の方にあった。
十数種類のサイクルキャップが並んでいる。
が、手にとってみても、折り畳んでビニールで包装されている商品はイメージしにくい。

「すみません」。
近くにいた女性の店員さんに声を掛ける。
Y’sロードは7ITA推しだからか、多分、店員さんが着ていたジャージも7ITAだろう。
可愛いと格好いいの中間の、表現しにくい魅力を感じる。
「あの、サイクルキャップが欲しいんですけど、どれがツバなしなんですかね?」。
「えと、それでしたら、まず、春夏物としてお求めなのか、秋冬、またはオールシーズンをお求めかによって変わるのですが」。
「季節に対するこだわりは、特にありません」。
まぁ、俺はルックス重視なので、季節は度外視だ。
「それでしたら、これはどうでしょう?耳までカバーするので、これからの季節、防寒対策になります」。
「なるほど」と思う。
「寒い中、サイクリングすると、頭部も冷えて痛みを感じることがあります。それを考慮すると、耳もカバーしているサイクルキャップはいい物ですよ」。
「なるほど」と思う。
ただ、俺としては、「耳はいらないんですよ」なのだ。
既に、耳もカバーできるネックウォーマーを持っているので、耳は大丈夫。
俺からすると、ヘルメットのインナーキャップとしてのみ機能してくれたらよい。
耳は無視で、頭だけカバーするシンプルなキャップの方が、見た目もいい(俺なりの価値観で)。
「耳抜きで、もっとシンプルなのはありませんか?」。
「そうですねぇ」と少し悩む女性店員さん。

「せっかく堺筋本町まで来たのに、手ぶらで帰るのもなぁ」と、棚の側面に目を移すと、あるではないか。
耳までカバーせず、頭だけすっぽり覆うのが。
「こんな感じのがいいんです」。
包装されていないサンプルがあったので、「これ、被っていいですか?」。
「どうぞ」。
妙に大きく感じる。
「これやと、ヘルメットの中でごわごわしそうやな」。
サイズをチェックしたところ、XL。
「俺、そんなに頭でかないで」と思い、陳列されている同じタイプのサイクルキャップをチェック。
「全部、XLやん…」。
困った。
「あの、他のサイズありませんか?」。
「これは春夏物で、今はオフシーズンなので…。ここにある分しか在庫が無いんです」。
俺は、「そうですか。わかりました」と言い、店員さんに頭を下げて店を出た。

結局、手ぶらで帰ることになってしまった。
まぁ、親切に接客してもらい、それだけで十分満たされた。
そう考えるようにしよう。

次の日から、自転車雑誌の付録でもらったツバつきサイクルキャップを被って走る。
鏡を見る度に、今のところ、違和感しかない。

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