(138)サコッシュを引っ提げて走る。鳴門徳島サイクリングロード-7

肩からサコッシュをぶら下げて、鳴門を歩く。
何かうまいもんを食いたい。
ロードバイクに乗っていると、腹は減るが、盗難の懸念があるため、店の前にロードを止めるのが怖い。
なので、ゆっくり食事などできない。
だが、ロードは今、車に積んでいる。
ゆっくり味わって食える上に、運転しない俺(そもそも免許が無い)は、ビールも飲める。

鳴門のうまいもんと言えば、食ったことは無いが、なるちゅるうどん。
名物らしい。
写真で見る限り、お隣の香川県、讃岐うどんとは違い、コシがあるタイプではなさそうだ。
麺の太さが不揃いで、出汁の色を見た感じ、優しそうな味を想像する。
「これ、食べてみたいなぁ。よし、決めた」と、評判がいいうどん屋に向かって歩いていると、定休日や営業時間が気になり、食べログをチェックした。
「あぁ…、今からやと、時間的に厳しそうやな」と諦める。
うどん食う気満々だったので、精神的ダメージがやたらでかい。

たまたま向かった先に、海鮮料理屋がある。
「ここでええわ」。
何も知らず入り、適当にテーブルに座ろうとしたところ、店員さんにとめられた。
「先に注文して、レジで会計して下さい」と。
初めて来た店なので、「知らんがな」と思ったが、レジの回りを見ると、魚やら肉やら貝やらカットした野菜やら、色々と並んでいる。
いかにも、バーベキューの食材。
「なるほど。これを手に取って、レジで精算して、テーブルでバーベキューして下さいってことか」。
「でも、ひとりでバーベキューはないやろ」とも思う。
さすがにおかしい。
俺は、ひとり焼肉経験者だが、ひとりバーベキューはない。
そこまでひとりを極めたいとも思わない。
打開策を考える。
「お、普通に定食のメニューもあるやん」と、バーベキュー無しで、天ぷら定食を注文し、6人掛けのテーブルに、俺はひとり座った。

天ぷら定食を持って、店員がこちらに来た。
いかにも作業としてこなすその態度を見て、「忙しいのか疲れてるのか、そういうキャラなんか知らんけど、もうちょい愛嬌があった方がええよ」と、少し不機嫌になる俺。
「あと1時間ほどでランチタイムが終わる時に入店した俺は、迷惑だったのか?」と考えながら、海老の天ぷらを口に含んだ。
「うまいやん!」
大きさ、太さともしっかりして、しかもうまい。
海老以外の天ぷらも、漬物や冷奴などの小鉢を充実している。
「ええやん!」
「俺ログ、4.5やん!」
天ぷら定食1,000円、それ以上の価値を叩きつけられた。
俺は、心から満足して店を後にする。

その後、「コーヒーでも買って帰ろうか」と、近くのコンビニに寄った。
入店する時、一瞬、ガラスドアに映る自分が見えた。
肩からサコッシュをかけた俺。
俺自体は格好良くないが、ファッションとして、サコッシュはなかなかいいことに気付く。
「これはアリやな」。

鳴門から帰って、数日経つ。
今では、ロードに乗る時だけではなく、普段遊びに行く時も、サコッシュが手放せなくなった。

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