(226)尼崎城に向かって走る。

俺が住む西宮市から、武庫川の橋を渡れば、そこは尼崎市。
とても身近な街なのだが、飲んだり食ったり買い物したり…ということは、年に数回だ。
ジョギングやサイクリングでは、ちょくちょく走る隣町でも、買い物や飲み食いしようと電車に乗ると、尼崎を通り越し、梅田に行ってしまう。
かと言って、尼崎に魅力が無いわけではなく、十分に個性的で魅力的なのだ。
いい意味でのコテコテ具合が。

暇で暇で仕方がない今日。
朝、起きてから、尼崎の南西部を含む俺なりのジョギングコースを走り、昼からロードバイクに乗って、またまた尼崎へ。
サイクリングロードを必死こいて走ったり、暑い中、「はぁはぁ」言うて走るのとは違い、「軽くのんびり走ってみるのもええかな」と思い、尼崎に向かうため、西宮と尼崎の境目、武庫川を渡る。

往復10㎞程度なので、ロードに乗って散歩気分。
速く走る気も無く、インナーで走る。
要は、前のギアの軽い方を使って走るってことです。
シャカシャカと足を回し、尼崎に入る。

「そやそや、尼崎に来たんやから、何か楽しめる経験をせんと」。
そう思い、目的地を尼崎城に設定した。
俺、自己紹介する際に、「趣味はロードバイクです」と言う前は、「城です」と言ってひかれてる存在やったんですわ。
今でも城に対する熱い気持ちはあるので、目的地に尼崎城を設定する。
帰りに、尼崎の商店街でホルモン焼きを買って帰って、ビールとともにホルモン焼き。
あなたは、これを読んで「羨ましい」と思ったでしょ?
え、羨ましいでしょ?
自分に素直になってよ。

国道2号線を東に走ると、サイクルセンターサンワが見える。
俺は、脚を回すのを止めた。
「何か買わなあかんもん、あったよなぁ。何やったかなぁ?」。
必死で思い出そうとしたが、思い出せない。
ちなみに、それから3時間半経ち、今、俺はこの記事を書いているが、やっぱり思い出せない。
俺は、頭が悪いのだ。

阪神電車の尼崎駅前から川を渡り、尼崎城址公園に入る。
天守閣に近付くと、地面がアスファルトではなく、土になり、ロードでは走れない。
「面倒くさいなぁ」と思いながらサドルから降り、ビンディングシューズにシューズカバーを付ける。
ロードを押して歩きながら、「ほんまに面倒くさいよなぁ」と思ったが、「お城やねんから、アスファルトはやっぱりおかしいで」。
頭の中の、もうひとりの俺が、そう言った。

「うわぁ、大きいなぁ。立派やわぁ」。
尼崎城の天守閣が目の前に広がる。
俺は、天守構造としては、望楼型が好きなのだが(熊本城、岡山城など)、尼崎城天守は層搭型(名古屋城、和歌山城など)。
まぁ、江戸時代のスタンダードな天守閣の形で、尼崎城ができた時期を考えると、歴史を考証した結果なのかも知れない。
ただ、好きなタイプではない。
かと言って、俺はがっかりしたわけでもなく、「大きな天守閣やなぁ」と、本気で感動した。
そして、俺なりに考える。
同じタイプの天守閣だと、名古屋城の方がよっぽどスケールがでかいはずなのに、尼崎城が立派に感じるのは…。
「城址公園が狭いわりに、天守閣が大きいから、余計に大きく感じた」。
これに尽きる。

天守閣をぼけっと観ながら、「そろそろ帰ろうか」と、阪神尼崎駅の方に向かう。
下が土なので、しばらくは歩いて。
駅からは、ロードで走ったが、「あ、ホルモン焼きを買って帰らんと」。
思い出して、商店街に入る。

人混み。
いいねぇ。
雰囲気がある。
ただ、歩行者が多いため、走れる環境ではない。
サドルから降りる俺。
店頭販売しているキムチのお店や、お好み焼きのお店を横目に、ホルモン焼き屋に向かう(正確には、精肉店ね)。
あれもこれも、とてもうまそうに感じたが、なるべく見ないようにして、お目当ての「かごもと」さんに着く。
軒先にホルモン焼きコーナーがあり、「ホルモン、200gお願いします」と店員に伝え、商品を受け取る。
「かごもとのホルモン。久々やなぁ」。
テンションが上がってくる。
本来は、来た道と同じ国道2号線を走るつもりが、ウキウキしてしまい、下町の入り組んだ道を走った。

そして、突き当たり。
川沿いの、緑に囲まれた道。
俺は、クルクルとクランクを回す。
「早くホルモン食いたいなぁ」と思いながら。

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