(231)うだつの町並みに飛ぶスズメバチ-2

192号線を、しばらく西に進む。
集中して脚を回しながらも、道路沿いのお店や病院など、施設が目に入り、「俺は今、徳島市内でもずいぶんとひらけた所を走っているんやなぁ」と感じる。
この時点で、目的地であるうだつの町並みまで、たった30㎞程度の距離。

途中、今回参考にしたルートにおいて、曲がるよう指示されていた交差点を通り過ぎ、無駄に時間と体力を削ってしまったが、192号線に別れを告げ、北上。
そして、吉野川沿いの道に出た。
「さぁ、景色を堪能しながら、うだつの町並みに向かうで」と意気込む。
が、ほんの少し走って、歩道に逃げた。
車道が狭い上に、びゅんびゅん飛ばす車が怖い。
以前、同じ吉野川でも、徳島駅の北側辺りを走ったのだが、その時も同じ恐怖を感じた。
「あれは市の中心部やったからや。今回は、少し離れているから大丈夫やろう」。
そう考えていた俺は、甘かった。
「全然、大丈夫ちゃうやんけ…」。

「ルートを提示してくれた、あのブロガーさんって、ほんまにこの道を走ったんか?」と疑問を持ったが、歩道をよく見ると、狭い歩道に車止めがあり、サイクリングロードっぽい造りになっている。
「飛ばせるな」と判断し、俺はクランクを回す。
しかし、道がガタガタすぎて爽快感が無い。
結局、192号線に戻って、西に向かって走ったが、それはそれでストレスが溜まる道のりとなった。
不運にも、通勤、通学の時間帯。
相変わらず車道が狭く、徳島市内から近隣の町に向かう車で渋滞。
なんとか道路の左端を走ろうと試みたが、通学中の学生と、狭いスペースを共有しなくてはならない状況。
極悪としか表現のしょうがない、狭すぎる上に電信柱が立っている歩道に逃げても、歩行者がいるのでスピードは出せない。
イライラ、イライラ。
ママチャリとさほど変わらないスピードで走る、ロード乗りの俺。

「前に進んでいる気が、まったくしない」。
素直に、そう思った。
サイコンに目をやると、時速20㎞未満。
走りたくても走れないもどかしさを感じる。
また、「うだつの町並みに着くんは何時や?」、「その後、鳴門には何時に戻れるんや…?」と、不安に苛まれた。

午後2時半には、鳴門の渡船場に戻り、Nさんと落ち合わなければならない。
それに遅刻すると、西宮に帰った後、仕事に出るNさんに迷惑を掛けてしまう。
「このペースやと、帰りは、最悪、電車に乗って鳴門に戻らなあかんな」。
そう覚悟しながら、クランクを回す。
と、道路を走る車も、道路沿いの建物も、徐々に減り、緑色の景色になる。
右手に、また吉野川が見えた。
風を遮る建物が無くなったので、遠くの山まではっきり見えたが、風の影響をもろに受ける。
これはこれで、辛い。
だが、「やっとかぁ…」と思う。
「こういう景色の中を走りたかったんや」。
どこにでも、似たような田舎の景色があるのはわかっているが、俺は嬉しかった。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする