(345)ロードバイクで伊勢を走る~鳥羽へ~

昨日は松阪市から伊勢市。
この日は伊勢市から鳥羽市へ向かう。
「しばらくアップダウンが続きますよ」とSさんに教えてもらったが、「なんとかなるやろ」と軽く考えていた。
脚を回しながら、顔を右に向け左に向け、景色を楽しむ。
「信号も交通量も少ないし、辺り一面、木ばっかりやな」。
「ええ景色やわぁ」。
「ええ環境やわぁ」。
2mほど前を走るSさんが、たまに振り返って俺の位置を確認しているようだったが、「大丈夫、大丈夫。余裕、余裕。付いていけてますよ」と心の中で呟く。
俺は余裕の塊だった。

アップダウンが続く。
相変わらず景色に看取れながら脚を回す俺。
Sさんとの距離は5mに広がった。
「まぁ、大丈夫やわ。景色を堪能しよう」。
10mに広がった。
「下りで追いつくから問題無し」。
15m。
「余裕かましてる場合でもないな」。
前を見て、Sさんの背中を追いかけて走ることにする。

が、なかなか追いつかない。
初めて走るコースでは、全体のボリュームがわからないので、脚に疲労を蓄積させないようインナーで走ることを心掛けているが、インナーではダメだ。
遅い。
また、初めてのコースなので手の抜きどころが掴めず、「参ったなぁ」となった。

インナーとアウターを使い分け、アップダウンを繰り返すうちに、「これ単体でもきっついなぁ」と感じる登りに直面する。
「呼吸を整えて、いっちに、いっちに」と自分で自分の背中を押そうとするが、呼吸が乱れまくって苦しい。
鼻炎のせいだ…。
脚はぴんぴんしてるのに、呼吸で苦しみスピードが乗らない辛さ。
水をやたらと飲む。
「せっかく伊勢に来たのに、この日も鼻炎とは…」。
自分に絶望する。

「この登り、ほんまにだるいわー」と脳内で文句を言いながら登りきったその先から、一気に下る。
楽だが、スピードが乗りすぎてまぁまぁ怖かった。

セブンイレブンがあったので、休憩。
水を買いたい。
そしてもうひとつ、ちょっとした楽しみが俺にはあった。
「弁当を見たい」。
別に腹が減っていたわけではない。
セブンイレブンは、「ご当地弁当」という表現は適切ではないが、首都圏、東北、四国…と、各地域で販売されている弁当のラインナップが若干異なる。
俺は普段セブンイレブンで、「近畿」の弁当を買っているが、「東海」オリジナルの弁当をチェックしたい(そういう仕事をしているわけではないけどね)。
年に数回、徳島県の鳴門から香川県の高松に向けて走る時もそう。
トイレを借りる時や水の補給の際にセブンイレブンを訪れ、四国の弁当をチェックする。
まぁ、ロードバイクで旅する時の、自分なりの楽しみなのだ。
と言うわけで、弁当の売場に向かうと、スッカスカ。
ほぼ売り切れでがっかりした。

「しばらくは鳥羽の街中を走るので、アップダウンは無くなります。平坦な道です」。
Sさんに説明を受け、ほっとする俺。
交通量も信号も少しは増えたが、それでも俺の感覚ではすいすい走ることができ、気持ちに余裕が生まれた。
海が見えてくる。
「あ、ちょっと止まってくれますか?景色を見たいので」。
Sさんに声を掛け、ロードから降りる。

「あれは島ではなくて、陸で繋がってるんですよ」。
「鳥羽水族館は、あの辺りですね」。
解説してくれるSさんに相槌を打ちながら、「さすが三重県人。なんでも知ってるわ」と感心。

俺と鳥羽は、ほんの少し縁がある。
小学校の修学旅行で、伊勢と鳥羽を訪れた。
水族館にも入ったが、それはあまり記憶に無い。
が、鳥羽の海に浮かぶ船「ぶらじる丸」は強烈な記憶が残っている。
うまいカツカレーを食った思い出があるからだ。

小学校の給食で、毎日毎日、嫌でもパンを食わされるうちにパンが嫌いになり、たまにご飯の日は喜んだが、ご飯の日で、且つカレーライスとなると、クラスメートのテンションは上がった。
「なんで?カレーで?」。
俺には意味がわからない。
「家でカレー食うけど、有り難がるようなもんか?カレーって」。
そんなもんだった。
ところが、修学旅行の際、ぶらじる丸でカツカレーを食って、考えが変わった。
本当にうまかった。
俺は貧乏性なのか、好きなものを最後に食う。
まずはカレーライスとして食って、敢えてトンカツを残しておくのだ。
カレーはカレーでうまかったが、カレーが少しずつ減り、そして少しずつトンカツに近付く。
一度ペースを落とし、また少しずつカレーを食い、ちらっとトンカツを見る。
この駆け引きまで記憶に残っている。
「あぁ、なんと貧乏くさい話なのか」と、書いていて思ったので、Sさんと鳥羽の海を見るシーンに戻す。

「ぶらじる丸は、まだあるんですか?そこら辺に浮いてます?」。
「もう無いですね」。

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