(461)ロードの旅 ビワイチ編~スタート前~

7月17日。
いい加減な記憶だが、朝の4時半か5時にセットしたスマートフォンのアラームが鳴動し、起床。
缶コーヒーを飲みながら、テレビの前でぼんやりした後、風呂に入る。
心身のスイッチを入れるために。

「すっきりしたわぁ」の後、サコッシュにアンメルツやモバイルバッテリーを詰めていると、Sさんからメールが入った。
「今、草津です。もうすぐ守山に着きます」と。
Sさん(同行者 三重県在住 40代 男性)は、早朝に三重県から電車に乗りこちらに向かっている。

ジャージを羽織り、輪行バッグを担いでフロントへ。
「連泊するということで予約しています。で、荷物を少し部屋に置いてますけど、問題無いですかね?」。
にこやかな顔のお爺さんスタッフに聞いてみたところ、「大丈夫ですよ」と。
そして、俺の格好を見てか「今日はこれですか?」。
ハンドルを握るポーズで俺に問い掛けてきた。
「はい、それです」。

ホテルを出ると、小雨。
路面は湿っていたが、「この程度やったら大丈夫やろ」と判断。
30秒程度歩き、線路沿いの空きスペースに輪行バッグを置いて、ロードバイクを取り出す。
前輪、後輪を付けて、ブレーキもチェックした後、Sさんとの待ち合わせ場所、守山駅の西口に向かう。
わけだが、近くに踏切が無い。
東口にいる俺としては、「どうやったら向こう側に行けるんやろ?」と悩みながらうろうろしたところ、地下道を見付けた。
助かる。

ハンドルを推してとぼとぼ歩いて地下道を抜けると、「え?」。
「東口と違って開けた町並みやん。人、めっちゃおる!」。
バスを降り、駅に吸い込まれて行くサラリーマンと学生。
また、逆に駅からバスに乗り込む人たち。
「なるほど。西口が玄関みたいなもんか」と感心しながらも辺りを見回してSさんを探したが、どこにもいない。
おかしい。
「もう着きました」とメールがあったのに。

「どういうことや?」。
俺なりに考えたところ、現在地は西側の中央口であり、Sさんは西側の西口にいるのだろう。
土地勘が無い俺としては判断に苦しんだが、とりあえず駅を西に進んでみる。
と、眼鏡を掛け、上半身ががっちりとした男性。
「Sさん、こっちにおったんか」。

「おはようございます」。
「おはようございます」。
でかい卵のようなサドルバッグにカバーを被せているSさんと挨拶を交わす。
「本当にお久しぶりで~」などと言って握手しようにも、「先月、しまなみ海道を一緒に走ったよなぁ」。
再会のタイミングが、絶妙に中途半端な気がする。
まぁ、それはそれとして「ここまで電車で何時間かかりました?」とSさんに話を振ると、「だいたいですけどね、何とかかんとかで」と答えてくれたが、サドルバッグにカバーを被せるのに必死。
「Sさん、何を手こずってるんやろ?」と思ったが、おそらくカバーが後輪に接触するのが気になっているようだ。
「あの、小雨ですけどカバー無しでは無理なんですかね?サドルバッグ自体が防水加工されてるってわけではないんですかね?」。
「えぇ、ないですね」。

まだ朝の8時過ぎだ。
時間はいくらでもある。
俺は「気が済むまでカバーと向き合ってくれればええですよ」。
余裕をかましてそう思ったが、その余裕も50㎞ほど走った辺りで完璧に消滅する。
Sさんに大迷惑を掛けることになるのだ。

つづく

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