(468)ロードの旅 ビワイチ編~木ノ本から旧賤ヶ岳トンネル~

ブルーラインに沿って湖畔を進む(歩道をね)。
ずっと真っ直ぐ走ってきたが、「右へ曲がれ?」。
路面に目をやると、青いのがそう指示しているので、指示に従い右へ…行きたいが、信号の無い横断歩道だ。
なかなか通して頂けない。

数分後、横断歩道を渡ると、湖畔から少し離れた道にブルーライン。
田畑と民家に囲まれた田舎道を走る。
「ビワイチのコースやのに、琵琶湖関係あれへんやんけ。ただの田舎やんけ」と思いながらも。

車はたまに見掛けたが人はひとりも見なかったと思う。
引き続きブルーラインに従って進んだが、信号の無い交差点がやたら多く(車は走っていない)、「青いのはどっちや?前か?右?左?」。
いちいち確認しなければならない。
親切なようで、そうでもないようなブルーライン。

相変わらず、田畑に民家。
小学校か何かの施設の前も通ったが、印象としては、RPGの手抜きマップ。
景色が変わらないわりに、やたら右に曲がったり左に進んだり。
自分たちがどこにいるのかわからなくなってきた。

「Sさん(同行者 40代 男性)、木ノ本駅ってこの先にあるんですよね?」。
振り向いて話し掛ける。
「はい」。
「もうすぐなんですかね?」。
正直、俺は少し嫌気が差してきたので確認を取りたかった。
「この先に××号線が走っているので、その××号線をなんたらかんたらで」。
天気、体調、あらゆるコンディションが悪いせいか、Sさんの説明が頭に入ってこない。

「で、木ノ本に着いたらパン屋に行くんですよね?サラダパン食うんですよね?」。
「いえ。今回はやめておきます」。
「え、何でですか?」。
「こんなずぶ濡れの格好で店に入ったら、アホと思われるし店に迷惑ですよ」。
Sさんの言ってることは正しい。
納得。
ただ、念のためにもう一度確認を取ろうと思い(ちょっと面白がりながらも)、また聞いてみた。
「ほんまにいいんですか?木ノ本のパン屋。サラダパン、食べるんですよね?」。
「いえ。こんなずぶ濡れの格好した奴が店に入ったら、迷惑でしかないですよ」。
落車したせいで右手と右胸が痛く、俺は苦痛に耐えながらクランクを回していたが、Sさんの返しが妙におもしろく感じ、少しほっこりした。

木ノ本を通り過ぎた辺りで脚を止め、ふたりでコースの確認(俺は教えてもらってる方)。
なんやかんやと説明を受け、「要は旧道を走ったらいいんですかね?」。
「そうです」。
「では、進みましょか」。
緩やかな登りが少し続き、道の真ん中に看板。
「Sさん、この道を通るんはあかんのちゃいます?『通行禁止』が何とかってありますけど」。
「『ご協力下さい』、『気を付けて下さい』なので、走るのは可能ですよ」。
半信半疑でゆっくり登ると、確かに一部ではあるが斜面が崩壊していた。
ま、その先は普通に走れたので、Sさんの判断は正しかったと思う。

登り進めて目にしたのは、旧賤ヶ岳トンネル。
道の脇に歩道が無く、トンネルらしい設備が期待できない雰囲気(今の常識で考えれば)。
まぁ、ただの穴って感じです。
中を覗いてみると向こう側の光が見えたので、それほど長くはないようだ。
フロントとリアのライトを点灯させ、「では、くぐりましょか」。
そう思った後に、向こう側からトラックが走ってきた。
「ちょっと危険そうやから、トラックが抜けるのを待ってから進もか」。
俺とSさんはトンネル入口の隅に寄って、トラックが通過するのを待つ。
と、トラックが徐行。
運転席のおっちゃんが顔を出して声を掛けてきた。
「そんなところにおったら濡れるよ」と。
おそらく、「濡れた路面の水しぶきを被るよ」と親切に言ってくれたのだと思う。
しかし、俺にとってはどうでもいい。
既にジャージもパンツも体も水浸しなのだから。

つづく

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする