(470)ロードの旅 ビワイチ編~希望と絶望~

木々に囲まれた湖畔の道を進む。
と、意外。
道の端は濡れていない。
これは嬉しい。
「おー、木のおかげやな」。
「雨を遮ってくれたんやわ」。
既に雨は止み、部分的にでも乾いた路面を走ることができる。
当然、スリップする懸念が弱まり、俺としては助かる。
転倒して負傷した右手を庇いながら恐る恐る走ってきたが、「これは行けるぞ」という気分になれた。

景色を堪能する余裕も生まれ、「なるべく暗くなる前にビワイチを終えて酒を飲もう」。
「守山の駅前にはどんな居酒屋があるんやろか?」。
「飲むでー」。
そんな欲も出てきた。
すると、Sさん(三重県在住  40代 男性)から提案。
「大通りを走ると交通量が多いので、湖沿いのルートを選択しましょう」。
俺は「さすが、ビワイチ経験者」と思い、「ここを曲がったらいいんですか?」。
「はい、そこで」。
信号も交通量もほぼ0の道を突き進む。
スイスイと。
走っていて、「ここは大規模な運動公園なんやろか?」と思ったが、実際はどうかわからない。
帰ってからも調べてはいない。

快適にクランクを回して進んだが、それにも終わりを告げる。
交通量の多い道に合流。
「あぁ、これか。Sさんが懸念してた道って」。
確か、161号線だったと思う。
車がガンガン飛ばしている中で、我々は道の端、狭い路側帯をびびりながら進んだ。
と、前を走るSさんが停止。
「何や?」。
「あ、そっか。ここか」。
湖に浮かぶ鳥居。
ビワイチの名所、白鬚神社だ。
Sさんは鳥居に向かいスマートフォンで写真を撮っていたが、俺は真横をびゅんびゅん走る車が怖くて「頼むわ。早く行こうや…」。

白鬚神社から南へ進む。
相変わらず狭い道に、飛ばす車。
「161は最悪やな」。
ムカムカしてきた。
更にムカムカしたのが、止んでいた雨が急に降りだしたこと。
また、ブルーラインに沿って指示されたルートを走っていたが、急に「右に曲がれ」と指示され、その通り横断歩道を渡ったところ、「工事中」の看板が目の前を遮った。
「曲がれ言うから曲がったのに、どうしたらええんや?」。
更に、更にムカムカした。

「ちょっと様子を見てきます」。
Sさんが走り出した。
「工事中でも、道の脇を進めるんちゃうか?」。
きっとSさんはそう思ったのだろう。
俺は立ち止まって、すぐ横の161号線に目をやる。
ガンガン飛ばす車の波。
「この道、1日に何人死んでるんやろ?」。
1、2分経ち、「行けますよ」とSさんの声が聞こえたので、「工事中」を無視して進んだが、突き当たりで途方に暮れる。
「結局、行き止まりなん?」と。
Sさんはロードバイクを担いで草むらを歩き、ガードレールを越えて隣接する道路に出ようとしたが、俺は「勘弁してや」だ。
まともな道を走りたい。
「ちょっと待って下さい。あそこの角から道が続いてそうなんで、様子を見てきます」。
近くに電車の高架があり、その下なら走れそうな予感がした。
ちょっと進んで確認してみると、「Sさん、ここに道がありますよ!進めますよ!」。

とりあえず問題が解決したと胸を撫で下ろしたが、また困難な道のりが続く。
今、記事を書きながら、その時のことを思い出してうんざりしている。

つづく

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