(306)ロードで行く和歌山旅行~無限大の焦り~

頑張れ、俺。
貝塚市に入る。
と、また友人から電話があり、時間を少々ロスする。
「飲みに行くん、他に都合がいい日ないん?」だと?
こっちはそれどころの騒ぎではない。
「空気読めよ」と思うが、空気は伝わらないだろう。

「日が暮れるまでに、墓参りを終わらせたい」。
本気でそう思う。
真っ暗な墓場に入るのは、嫌で嫌で仕方がない。
そしてもうひとつ。
ホテルを予約した和歌山市へは、峠を越えなくてはいけない。
峠。
登りはまだいいが、暗い中で下るのは避けたい。
命懸けになる。

洒落にならない状況であるが、相変わらず信号は多く、道も狭い。
特に半泣きになったのが、泉佐野市。
関空に向かう電車の高架だろうか。
その下をくぐると、さらに道が狭くなり、渋滞。
今までの墓参りライドで何度も経験したが、ここから先は極悪だ。
交通量のわりに、どう考えても道が狭い。
また、道沿いにファミレスやコンビニがちょくちょくあり、その駐車場に出入りする車が、さらに車の流れを悪くしている。
「もう勘弁して下さい…」と、ドライバーに泣きつきたくなった。

ストレスを感じながら走っていると、「そもそも俺が渋滞の原因なんちゃうんか?」という気もしてきた。
時速23㎞ですしね。
「車のドライバーに迷惑を掛けては悪いな」と、歩道を走ってみたが、もうガッタガタ。
ファミコンのエキサイトバイクを体現する俺。
ジャンプ台を飛び、そして跳ねながら前に進む。

気持ちは焦るが、速く走れる環境ではない。
が、環境を受け入れて、俺はクランクを回すしかないのだ。
空に目を移す。
「まぁ、なんて綺麗な夕日。哀愁を漂わせてますなぁ」と、感心している場合ではない。
日が沈むまでに、墓参りを終わらせなくては…。

走りながらサイコンで時間を確認しようにも、暗くて読めない。
バックライト付きの上等なサイコンを俺は持っていない。
信号待ちの間、スマートフォンで時間を確認すると17時。
今の時期、泉州が何時に日が沈むか知らんが、「17時半までは大丈夫やろう。まだ望みはある」と勝手に判断する。
それによって、自分を勇気づける。

空の色がどんどん変わっていく。
不幸な色に変わっていく。
青からピンクに、そして薄暗くなる。
「レッツゴー、墓!」と脚を回しまくるが、スピードは上がらない。
体力が削られていくだけだ。
「この辺りは平坦な道に見えて、実は微妙な登り」と、後で冷静になって思い出した(過去の経験から)。

ずっと26号線を直進してきたが、やっとハンドルを動かせる。
曲がってちょっと進み、霊園の駐車場まで来た。
サドルから降り、ハンドルに手を掛け、佇む俺。
空を見上げ、「月が綺麗だね」と彼女(空想上の生き物。麒麟や竜、一角獣と同じカテゴリーに分類される)に語りかける。

「…」。
霊園に目を向けると、真っ暗。
「無理じゃ!」。
「こわぁて、ようはいらんわ!」(訳 怖くて入れないです)。
本気で無理と思ったので、墓参りは明日。
明日、和歌山から帰る際、墓に寄ることにした。

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