(334)ロードバイクで伊勢を走る~武庫川駅~

出発の前日、朝っぱらから気持ちが落ち着かない。
「やるべきことは早くやっておこう」と、チューブに空気を入れ、フレームも軽く清掃。
そして、1泊分の着替えと充電器、モバイルバッテリーを用意。
バックパックにそれら荷物を詰め込み、念のため、「忘れ物がないかチェックしとこか」と、詰め込んだ荷物を出してはもう一度詰め込む。
伊勢に行き、このブログを読んでくれているSさんと一緒に走るのは翌日だが、何かやっておかないと気がすまない。

仕事を終え、夜の9時頃には布団の中。
普段なら酒を飲んでいる時間帯だが、自分を律した。
翌日のためだ。
十分に体を休め、伊勢の旅に臨みたい…ところだが、「全然、眠気がけえへんやんけ!」。

「遠足前は楽しみで眠れない」。
そんな表現を子供の頃から漫画を通して目にしてきたが、俺には理解できなかった。
俺にとって、やりたくもないことを何時にどこですると計画された遠足も修学旅行も、ただただ鬱陶しいだけ。
通常の授業なら、3時40分と決まった時間に家に帰れるので気分的には楽だが、遠足や合宿、修学旅行はスケジュールを押し付けられた上、3時40分を過ぎてもくだらないイベントに付き合わなくてはならない。
窮屈。
窮屈で苦痛。
キャンプファイアーなんか、したいと思ったことが今現在に至って一度も無い。

社会人になっても同様。
「社員旅行?そんなもん行くぐらいやったら、死んだ方がマシじゃ!」だ。
24時間拘束される社員旅行よりも、かったるいが終電まで残業する日常の方が、いくらかマシに思う。

そんな俺だが、ロードバイクに乗り始め、イベント事に顔を出すようになってから変わった。
「楽しみで眠れない」という感覚が理解できるようになった。
おかげで、この日は2時間しか眠れずに朝を迎える。

枕元に置いていたスマートフォンの時計に目をやると、出発予定の時間まで随分と余裕があった。
一瞬、「二度寝しよか」と考えたが、もし起きられなかった場合が怖い。
とりあえず風呂に入って眠気を覚ました。

あらかじめ旅の支度は完璧に出来ていたので、いつでも出発できる状態だ。
ただ、だからと言って早目に家を出ても、無意味。
予約した近鉄の特急を、上本町の駅で無駄に待つだけ。
「何をして時間を潰そうか?」と考えたところ、妙案が浮かんだ。

武庫川サイクリングロードを走った。
土曜の朝7時台。
「道はスカスカやろ」と考えていたが、自転車で通勤、通学する人たちがそこそこいたので、快適には走りにくかった。
なるべくイライラしないよう自分に言い聞かせながら、クランクを回す。
「30分ほど適当に走って、阪神の武庫川駅に行こう」。
「駅近くの公園で、ロードを輪行バッグに収納して、武庫川駅から阪神に乗ったらええ」。
「武庫川からやと、予約した近鉄の特急に乗る上本町まで1本で行けるわ」。
「それはそうと、この時間帯に走るとけっこう寒いな」。
10㎞ほど軽くサイクリング。

輪行バッグを担いで武庫川駅へ向かう。
西宮市と尼崎市の境目、武庫川の上に架かる少し変わった駅だ。
西宮側の改札を通るとホームまで距離があり、ビンディングシューズを履いて歩く俺には辛い。

「輪行バッグを担いで電車に乗ると、まわりの人に迷惑掛けるよな」。
俺なりに引け目があるので、「一番後ろの車両に乗って、車両の後ろ方にある空きスペースで待機しよう」としたが、車内はそこそこ混んでいた。
「すみません」。
「ちょっとすみません」。
乗客に声を掛け電車に乗り込む、存在自体が迷惑な俺。

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