(346)ロードバイクで伊勢を走る~パールロード~

「パールロードを走って、牡蠣小屋に向かいます。リアス式海岸なので、さらにアップダウンの道が連続します。約××㎞です」。
今回の旅で、通算10回ほどSさんからブリーフィングを受けたが、その何回目なのかは忘れた。
××が何㎞かも忘れた。
覚えているのは、「コンビニか自販機はありますか?」と質問したこと。
鼻で呼吸できない俺は、口で呼吸するわけだが、体が動かしながらだとすぐに喉がカラカラになる。
「ありますよ。少し走ったら」。
Sさんにご回答頂き、コンビニに向けて走る。

「この先、パールロード コンビニありません」という看板が見えた。
何と親切なファミリーマート。
買い物をして、休憩しながらブリーフィング。

Sさんは親切な人だと思う。
ただ、「あと何㎞です」と言われても、俺は普段走っている道が平坦な場合が多いので、平坦な道としてイメージしてしまう。
また、「アップダウンがある」というのは頭ではわかっているのだが、パールロードを走った経験がほぼ無いため、いくつ目の登りがきつい等、情報をリアルに感じることが難しい。
まぁ、この後、リアルに感じて苦しむのだが。

Sさんが前を走り、後ろから付いていく俺。
前日の松阪駅出発から変わることがないフォーメーション。
たまに、「この先は一本道なので、マイペースに前を走ってくれていいですよ」と気を使ってもらったが、「結構です」と。
俺の答えはひとつ。
常に「結構です」。
遠慮もあるが、後ろの方が楽なのだ。

「鼻、きっついわぁ」。
鼻水が止まらないので、バックポケットからティッシュを取り出して鼻を拭いていたが、何回も繰り返すうち、それも面倒になりグローブで鼻を拭く。
みっともない光景だが、「まわりに人おらんし、Sさんも見てへんから大丈夫」と思っていると、たまにSさんが振り向く。
「前だけ見てよ…」。

「真っ直ぐ行くと橋が見えるので、渡って進んで下さい」。
Sさんが前を俺に譲ろうとするが、固辞するのも悪い気がしてきた。
「わかりました」と走り出し、すぐに下り。
「また鼻水が止まらん!」とあたふたしたが、Sさんは俺の後ろを走っているのだ。
俺がグローブで鼻を拭いているのは見えないはず。
都合がいい。
鼻を拭きながら脚を回すと、橋が見えた。
「あぁ、あれか」。
道は平坦になり、気持ち良くクランクを回す。
と、すぐに呼吸困難に陥った。
「鼻水出たり詰まったりで、何やねん?」。
数軒の牡蠣小屋が見えてきたところで、「Sさん、前をどうぞ」。

アップダウン。
アップダウン。
走っている時も、この記事を書いている今も、ほぼアップの記憶しか無い。
が、少しずつでも進んでいたのだろう。
呼吸困難の苦しみと坂を乗り越え、下りに入ってまた登り。
「勘弁してくれよ」と何回思ったことか。

我々が向かう牡蠣小屋は、谷川水産さん。
何度か、Sさんから「海の博物館が近くにあります」と説明を受けが、「そもそも、その海の博物館って何やねん?」と思い、聞いてみたところ、昔の漁師のなんたらかんたら。
疲れていたので頭に入ってこなかった。
わけだが、見えた。
道の脇に「海の博物館 ×00m」という看板が。
「谷川水産もすぐや!」。

Sさんがクランクを止めた。
「ここを下ると谷川水産です」と。
「楽できるわ」。
Sさんの後を追って、俺も下る。
また立ち止まり、「道が悪いので歩きましょう」。
サドルから降りる。
アスファルトではない、ロードバイクの細いタイヤでは走りにくい道。
「また今日もSPD-SLシューズで歩くんか…」。
ロードに乗っても歩いても辛い。

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