(347)ロードバイクで伊勢を走る~谷川水産で牡蠣を楽しむ~

苦労の末、やっと牡蠣小屋に着いた。
店の脇にロードバイクを立て掛けて、俺とSさんの2台をロックする。
「疲れたわぁ」。
「動きたくないわぁ」。
そんな気持ちで、しばらくその場でぼけっとしていると、Sさんが従業員の姉ちゃんに「11時に予約していたSですが」と声を掛けた。
近くでなんとなく会話を聞いていると、どうも話が噛み合っていない。
姉ちゃん、中国の人なんだろう。

入店し、受付で予約した旨を伝える。
前払い制なのでお金を出そうとすると、「財布をロードのサドルバッグに忘れました」とSさん。
「なかなかそそっかしいところもあるんやなぁ」。
半笑いになった。

テーブル席に座る。
大きめの皿が2枚。
1枚は蒸し牡蠣用。
もう1枚は焼き牡蠣用。
むさぼり食って量が減ると、牡蠣が入ったバケツを持って店内を回る店員さんが、ドバァっと牡蠣を入れてくれる。
90分食い放題で、料金は1人2,500円ぐらい。
さらに、ドリンクや調味料の持ち込み可。
最高だ。

Sさんがテーブルの上に調味料を並べた。
醤油、ゴマ油、オリーブオイル、レモン汁などが入ったプラスチック容器。
後で聞いたところ、「スーパーで買ったままでは瓶なので重い」と、わざわざプラスチック容器に移して持参してくれた。
感謝。
他にも、チーズ、バター、ケチャップ、練りわさび、ゆず胡椒。
さらに、チーズとバターを溶かすため、ガスバーナー(中に100円ライターを装着する)まで用意してくれて、至れり尽くせりです。

焼き牡蠣と蒸し牡蠣が目の前に盛られ、俺のスイッチが入った。
「とりあえず、バター醤油、いっとこか」。
「Sさん、バター、ひとつもらいますね」。
「バターを少しちぎって、牡蠣の上に置いて…と」。
「ここでガスバーナーの出番や」。
「ええ感じに溶けてきたな」。
「最後に醤油。加減が難しい。ほんの少し」。
「ちょっと入れすぎたな」。
「まぁ、ええわ。とりあえず食ってみよう」。
「うまいわぁ」。
「さぁ、ガツガツ行くで!」。
そう思いながら、二つ目の牡蠣に手を伸ばしていると、「まずは味付け無しで、そのまま食べようか」とSさん。
俺は「確かに」と思ったが、もう手も口も止まらない。

牡蠣を手にして、殻を剥ぐ。
「次はチーズいっとこか」。
チーズをガスバーナーで炙り、オリーブオイルを少したらす。
90分近く色んな味付けを楽しんだが、これが一番うまかった。
単純に「チーズ+ケチャップもうまいやろ」と思い、試みたところ、うまいことはうまい。
ただ、ケチャップが勝ってしまい、「牡蠣、関係あれへんやんけ」となった。

「蟹を食べてるみたいな状態ですね」とSさん。
「確かに」とまた思う。
相変わらず、手も口も止まらないので、会話が少ない。
牡蠣を手に取り殻を剥き、調味料をつけて口に放り込む。
その一連の作業がルーティンワークとなり、話している場合ではない。
90分が近くなった頃、Sさんが口を開いた。
「krmさん、殻の剥き方が最初より上手になりましたね」。
牡蠣の本場の人に褒めてもらい、俺は内心かなり嬉しかった。

味も量も大満足。
自分で殻を剥くお店で食べたのは初めてだったので、良い経験も出来た。
「来てよかったわぁ」。
素直にそう感じたが、「腹いっぱいで、もう動きたくない。走りたくない」と思った。

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