(385)ロードお遍路の予行演習~一方的に仲間認定~

1番札所の霊山寺に向けて走り始める。
スマートフォンのアプリ、自転車NAVITIMEを利用した場合、渡船乗り場から霊山寺までの最適なルートを提示してくれるだろう。
が、敢えて少し遠回りして鳴門駅へ進む。
何度も鳴門を走っていると、鳴門市街地に対して親しみが湧き、土地勘が身に付いた(気がする)。
「地図無しで、進めるところまで進みたいわぁ」。
俺は自然とそんな気分になったのだ。

朝の8時前。
人通りは少ない。
と言うか、無い。
15分ほど走り、駅に近付くと、やっとだ。
スーツを着てリュックを背負った兄ちゃんを見掛けた。
「仕事、頑張って下さいね」と、言葉を掛けたい気持ちになったが、「平日の朝っぱらから趣味を満喫する俺は何やねん?」という気もして、何か後ろめたい。
「まぁ、ええわ」。
深く考えず、クランクを回す。

駅の近くには、商店街がある。
お店はほぼ閉まっており、朝の静けさを味わうよりも「大丈夫か?」と不安になる空気。
「まだ朝や。この時間帯やから、どこも閉まってるんやろ」。
「コロナの影響で閉めてる店も多いんかもしれん」。
そう考えるように努めたが、「以前、真っ昼間にここを通った時も、今とあんまりかわらんかったような…」。
景色だけでなく、心まで退廃的になりそうだ。

「幹線道路」と呼ぶのが正しいかどうかはわからないが、駅の南側にそれなりの道路が通っている。
俺が目指す霊山寺方面へ。
ただ、それなりの交通量があるので、その一本北側の信号が無い道を選択。
山が間近に見え、神社や祠もぽつぽつある。
狭い道だが、田舎らしい生活感があって良い。

真っ直ぐ突き進み、12号線に出た。
以前、「道の駅 第九の里」や「うだつの町並み」へ走った際、この道を利用したが、印象としては最悪。
とにかく狭いので、真横を走る車が怖い。
「霊山寺に行くためや。事故にならんよう気を付けて走ろう」。
神経を尖らせて脚を回したが、「交通量、増えてきたな。相変わらず車道は狭いし、仕方ないわ。歩道を走ろ」。
しばらく歩道を進んだが、「人は歩いてへんけど、歩道は歩道で狭いよな…」。
何かにつけて文句を言いたい心境になった。

「あ、前からロードバイクが走ってきたわ」。
俺と同じく、歩道でクランクを回しているロード乗り。
「ストレスを溜めながら走ってるんは、俺だけちゃうんやな」。
一方的に、彼を仲間として認めた。
まぁ、それはそれとして、歩道が狭いため、すれ違うのが難しい。
「参ったなぁ」。
俺はサドルを降り、道の隅に寄って仲間が通れるスペースを作る。
と、Bianchiに乗った兄ちゃんが、俺に一礼して過ぎ去っていった。

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