(400)買ったばかりのマスクをして、御前浜橋へ釣りの見学に-4

釣りを始めてから(俺は見学だが)、3時間経過。
「退屈じゃないですか?」。
Nさんが声を掛けてきた。
「いえ、全然退屈じゃないですよ」。
もうね、退屈どころかね、いつフナムシが近寄ってくるかと思うとスリリングすぎて、時間経つのが早い早い。

「あ、至近距離に1匹おるな」。
「じっとしてたら近寄ってくるかも知れん。立とう」。
よっこらしょと立ち上がる。
と、サコッシュに入れたつもりのスマートフォンが滑り落ちた。
「最悪や。やってもうた…」。

スマホは岩と岩の間。
「この辺りやろか?」と覗き込む。
が、暗くて見えない。
「仕方がない。ここは思い切って、隙間に手を伸ばそう。スマホを引っ張り出そう」。
「いや、ちょっと待て。フナムシがうじゃうじゃいるところに手を突っ込む度胸なんか無いわ」。
「でも、スマホ無いといろいろ困るで」。
「でも…、フナムシが…」。
下を向いて自問自答を繰り返す。

「どうしました?」とNさん。
「あぁ、困りましたわぁ。スマホを落としましてね、DOCOMOショップに行かなあかんけど、近所の店舗、コロナのせいで今は閉まってるし…」。
弱音を吐くと、「ここの隙間ですよね?」。
Nさんが手を突っ込んでくれ、スマホ救出。
通信手段が無い生活をイメージし、絶望を感じたが、本当に助かった。
「ありがとうございます!」。

気を取り直して、背伸びをする。
そして、深呼吸をしようとした時、「何か飛んできた!!」。
顔付近に黒い影が舞っている。
「うおおーー!」。
フナムシが飛んできたと本気で錯覚し、絶叫。
ちなみに、アゲハチョウだった。
「ハァ、ハァ、今の俺に近寄らんといてくれ…」。

また落ち着きを取り戻そうと心掛け、岩の上に体育座り。
隣には、機械のように海老を気絶させ水面に投げるNさん。
「いつになったら釣れるんやろか?」と眺めていると、釣り針の交換を始めた。
「それ、何か意味があるんですか?」。
「もう何度か魚が餌に食いついたけど、逃げられたでしょ?原因のひとつとして針があるんですよ」。
「ふ~ん、そういうもんなんかぁ」と、俺は近くにいるであろうフナムシの監視を続けた。

スマホで時計を確認すると、10時前。
「もう4時間経つんかぁ」。 
「それにしても、いっこも釣れへんなぁ」。
そんなことをぼんやりと考えていると、「先に帰りますか?」とNさん。
「いやいや、俺が帰ってから15分後に釣れましたってなると、やりきれない気持ちになるので、もうちょいいます」。
そしてまた、辺りはし~ん。
たまにボラが跳ねる音が聞こえる程度。

「確かチヌを釣りに来たはずやけど、どうせ釣れへんのやったらボラでも釣ってくれへんかなぁ」。
「ほんまに、俺は何をしに来たんやろう?」と思う。

朝早くに起き、5時半に家を出て、ロードバイクに乗って御前浜橋に着いたのは6時前。
その後、したことと言えば、釣りの見学よりも主にフナムシの監視。
フナムシが近寄っていないか…に神経を尖らせた4時間。
「バルサン焚いたろか」と50回ぐらい思った4時間。

日差しが強くなり、「Nさん、いつもめっちゃ日焼けしてるけど、わかる気がするわぁ」。
のんきにそんなことを考えていると、「食い付きました!」。
ゆっくりリールを巻くNさん。
竿がしなり、「俺はこの光景を見たかったんだ」と思う。
「ついに釣れたやんけ」。
少し興奮しつつタモ網の中を除くと、1匹のチヌ。
魚釣りの経験がほぼ無い俺にとって、大きく立派に見えたが、「小さいです。30㎝ちょっとですね」。
Nさん、釣ったばかりのチヌをあっさりリリース。
俺としては釣れた瞬間が見れたのでOK。
「今日はありがとうございました」と伝え、ロードバイクに乗って帰った。

夕方になり、Nさんのメールに気付く。
「また近いうちに釣りの計画をします」。
「淡路島で考えているので、krmさんは午前中釣りをして、午後からロードで走る、でどうでしょうか?」。
釣りが絡むからか、積極的なお誘い。
感謝する。
が、「なるべくフナムシのおらんところでお願いします」と俺は返事した。

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