(409)また西宮浜へ走り、釣りの見学~ロードを担いで岩場を進む~

目覚ましが鳴り、普段通りに起きて普段通り通勤している時に、ふと気付いた。
「あ、俺、今日休みの日やわ」。
家に引き返す。
「帰ってまた寝よかぁ」と。

いや。
いやいや、俺には予定がある。
昨日、酔っ払ったせいで忘れていた。
飲み屋を出る時に、「明日の夜明け、5時頃に西宮浜で釣りをするので来て下さいね」とNさん(50代後半 男性 俺を鳴門に連れて行ってくれる人)に言われた気がする。
「はい、行きます」と答えたのか「朝早いんで無理です」と答えたのかは記憶に無い。
時計を確認すると9時。
「賭けになるな。まぁ、一応、行くだけ行って誠意を見せとこ」。
俺はサドルに跨がった。

西宮浜へのルートを考える。
先週走った阪神しまなみ海道を利用して行きたい気もするが、若干遠回りになってしまいNさんを待たせてしまうのも悪い。
まぁ、既に4時間も遅刻しているので、少々早く着こうが遠回りにしようが誤差レベルだが、「一応、最短ルートで走ってきましたと誠意を見せとかなあかんな」。
43号線を西に進む。

「緊急事態宣言が解除される前に比べて交通量が多いな」と感じながらクランクを回し、歩道にも目をやるとマスクを着けている歩行者。
「前よりかはましやけど、まだ神経質にならなあかんねんなぁ」。
「マスクを着けなくてもいい日常に、早く戻ってほしいよなぁ」。
心からそう思う。
と言うのも、先日買ったロードバイク用のマスク、徐々に暑くなりだした今の時期に着けると、すぐに汗びたしになり洗濯。
俺はスペアを持っていないので困る。

御前浜橋を渡り、Nさんにメール。
「遅くなりましたが、どの辺りで釣ってるんですか?」。
俺の記憶では、Nさんは「浜側」と言っていたので、岩場ではなく砂浜で釣りをしていると想像していたが、返信を確認し「えー!また岩場かよ!」。
前回、「傾斜がついた岩場なんかビンディングシューズで歩けるかよ」と絶望し、シューズを脱いでソックスで歩いたが、「また今回も岩場かよ!」だ。
「ロードと釣りは親和性が低い」と心の底から実感し、恨んだ。

サドルを降り、Nさんがいる釣り場までの道に目をやる。
平坦な岩場と傾斜がついた岩場。
そして狭い草むら。
50mぐらいか。
「ビンディングシューズやと滑るから、岩場は避けて草むらを進もう」。
ロードを押しながら草むらに足を踏み入れると獣道。
「ちょっと歩きやすい。これは助かるわ」。
と、しばらくして「ガサガサ」。
近い距離で何かが動く音。
驚いて音がする辺りを凝視すると、狸のつがいがいるではないか。
それはそれでまた驚いた。
ちなみに、正確にはアナグマかアライグマだったのかも知れないが、どっちにしろ俺は汗が止まらない。

徐々に獣道が薄くなり、伸び放題の高い草が群がる中を進む。
が、草がホイールに絡み、ロードを押して歩けない。
仕方がないので担いで歩くと、目の前に岩場が広がった。
ビンディングシューズを履いた状態で傾斜のある岩場は避けたい。
というわけで、平坦な岩場を進んだが、鬱陶しいことに、ところどころ木が生えており邪魔で邪魔で。
無理矢理通り抜けようとしても、押し返されているような圧力を感じる。
「なんで?」と思い状況を確認すると、担いでいるロードのホイールに木の枝が絡みついているのだ。
「ほんま…」。
俺はただ釣りの見学に来ただけなのに、想定外の苦労に直面し、本音としてアホらしくなってきた。
「普通に歩けるとこで釣ってくれよ」と思う。

「お疲れ様です」。
Nさんに声を掛ける。
「朝から2匹釣れましたよ。チヌ」。
「そうですか」。
まぁ、俺からするとチヌがどうこうよりも、とりあえず肩に担いだロードをどこかに置きたい。
「ここらでええか」と壁に立て掛ける。
濃い緑に包まれた木のおかげか、チェレステが擬装されているようだ。
「これやったらパクられへんな」。
そう思うと同時に、「帰りに俺が見つけられへんかったら困るな」。
我ながら、ちょっと笑いそうになった。

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