(420)ロードで鳴門を登る~明石のりラーメン~

鳴門から西宮へ帰る途中、16時過ぎだったと思う。
淡路島のサービスエリアに寄った。
昨日、夜遅くまで仕事をして、夜中に車を出して俺を鳴門まで連れてきた後、真鯛釣りをしたNさん。
「疲れてるんやろなぁ。帰りも運転せなあかんし、ここで仮眠でもするんやろな」。
そう思っていると、Nさんは急に車を降り、しばらくして戻ってきた。
「明石のりラーメン、売店に無かったですわ」と。

俺の中学時代からの友人に、今、大阪で飲食店を経営しているHという男がいる。
先日、Hの店に顔を出し「近いうちに鳴門行くねん」と話したところ、「鳴門に行くんやったら、明石のりラーメン買ってきてや。テレビでやってたんやけどな、袋麺のご当地ラーメンでうまいらしいねん。持ってきてくれたら、うちで作ってお前に出したるで」。

鳴門に向かう車内でNさんにその話をしたが、意外なことにNさんは明石のりラーメンが気になった様子。
俺よりも執着しているようだ。
淡路島のサービスエリアでNさんに言う。
「売店に無かったですか。仕方無いですね」と。
続けて、「ネットで調べたところ、確かに評判はいいみたいです。通販もしてるみたいですわ。直接お店で買おうとなると、明石サービスエリアまで行かなあかんぽいですね」。
「そうですか。困りましたね。淡路島から神戸方面に帰るのに、明石は逆方向になるますねぇ」とNさん。
俺は「もう執着するのはやめて帰りましょうよ」と思いながら、畳み掛けるように「しかも、明石サービスエリアに行っても、夕方には売り切れてるって情報もありますよ。今、まぁまぁ夕方ですよ」。

カーナビをいじくりだすNさん。
「20分程度です。遠回りになりますが、明石に行きましょう」。
何故かわからない。
Nさんが明石のりラーメンに執着する理由。
もしかして、俺のせいで徳島ラーメンを食べられなかったからか。
なら、正直すまん。

淡路島を北に進み神戸市に入る。
普段なら、ここから東に進むところを西へ。
目指すは明石。
「たかが袋麺のために遠回りして帰らなあかんか?」。
「で、明石サービスエリアまで行って売ってなかったらどうする?」。
「仮に売ってても、食ったらまずかった…とか勘弁してくれよ」。
複雑な心境になり、なんとなく窓の外に目を向けた。

明石サービスエリアに着く。
車を降りて、小走りで土産物売場へ。
「あ、売ってますよ」とNさん。
入口を入ってすぐの目立つところに、明石のりラーメンが。
「10個か15個はありますね。夕方には売り切れてるかもってネット情報は何やったんですかね?」。
少し皮肉を言いながら、醤油味を3個と塩味を2個を手に取る。
「他にも何かええもん売ってるかな?」と売場をうろつき、「お!」。
明石のりラーメンの4個入りパックを発見。
「こっちの方が安いやん」。
醤油味2個と塩味も2個入ったパックと、単品で醤油味1個を買い、明石を後にした。

「わざわざ明石に寄ってラーメン買ってきたぞ」とHにLINE。
「サンキュー!じゃあ、I(小中の同級生)も誘って、ラーメン持ってうちの店に来てるや!」。
Iと連絡を取り、予定を合わせてHの店に向かった。

顔を合わせばいつもする話、「今年の阪神はどうやろなぁ」を語り合い、そして酒を飲む。
1時間ほど経っただろうか。
厨房から「もうラーメン出そか?」とHが顔を出した。
「おう、頼むわ。俺、醤油」。
数分して、「ちょっと濃い目に作っといたわ」。
目の前に、明石のりラーメン醤油味。

「チャーシューとメンマ、トッピングしてくれてるやん。気が利くねぇ」と思ったが、「でも見栄えはあんまり良くないよな」。
スープが少な目のせいか、麺の一部がスープに浸っていないため、食べかけのように見えた。
「まぁ、ええわ」。
麺をすすってみる。
元々、「磯臭い感じなんやろな」と勝手に決め付けていたが、実際に食べてみるとそうでもなかった。
ただ、少し塩辛い。
麺に海苔を練り込んでいるため塩辛く感じたのか、スープの水を少な目にして濃く作ったせいでそう感じたのかは、今でもわからない。
隣で「うんうん、うまいな」とI。
やはり塩辛さが少し気になったが、俺もうまいとは思う。
また、「ご飯として食べるより、〆のラーメンに適している」とも。

数日後、明石のりラーメンを一緒に買ったNさんと話す機会があり、「食べました?どうでした?」と聞かれる。
「美味しかったですよ」。
「インスタントの域を超えていました?」。
「さすがにそこまでは…」と思い、俺は言葉を濁した。

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