(425)しまなみ海道を走り、とびしま海道を走り~尾道までの車内~

「のぞみの6号車、最後列20のEやな」。
「間違いないな」。
特急券を何度も確認し、ホームの乗車位置に陣取る。しばらくして、新幹線が入線。

乗車して、「20のE、20のE」と頭の中で唱えながら予約した席に移動する。
と、当たり前のことだが、俺の席は空いていた。
「よかったぁ。俺の席やわぁ」。
実は、みどりの窓口の券売機で新幹線のチケットを発券したのは今回が初めてだったので、何かと不安を感じていたのだ。

胸をなで下ろし、輪行バッグを座席の裏にある特大荷物スペースに置こうとした。
が、既にキャリーバッグが置いてある。
これでは輪行バッグが置きにくい。
隣の席に座っている、おそらくキャリーバッグの持ち主であろう女性に、「すみません。そちらの荷物、奥に詰めてもいいですか?」。
急に話し掛けられたからか、女性は「はぁ?」という顔で振り向いた。
「あの、自分の荷物が置けないので、そちらの荷物をですねぇ」。
「あぁ。いいですけど、どちらで降りるんですか?」。
どうやら、先に降りる人の荷物を手前に配置したいようだ。
正しい。
「はい、自分は福山です」。
「私は広島なので…。じゃあ、私のは奥に詰めてもらっていいですよ」。
「すみません。助かります。荷物、触らせてもらいますね」。
輪行バッグを特大荷物スペースに置き、また「ちょっとすみません」。
女性に座席のトレイを上げてもらい、やっと自分の席に座った。

窓の外に目を向けると、真っ暗。
やたらとトンネルが多い区間なのか。
「何か素っ気ないよなぁ」と思う。
本当なら、駅弁を食って缶ビールを飲んで新幹線気分を満喫したいのだが、新神戸から福山まで50分もかからない。
飲み食いし終わる前に着かれても困る。
「あー、ほんま素っ気ないよなぁ」。

次の駅、岡山にはすぐに着いた。
「この次の福山駅もすぐやな。今のうちにトイレに行っとこ」。
輪行バッグを担いでトイレを利用するのは、いろいろ不便があり(トイレまでの細い通路を通れないとか)、今がチャンスと判断。
席を立ち、「ちょっとすみません」と隣の女性に言って、またトレイを上げてもらい通路に出る。
その時、ふと思った。
「帰り(トイレに行った後)も自分の席に座るには、隣の人にトレイを上げてもらわなあかんな」と。
それはそれで気を使う。
「どうせ、岡山から福山まですぐなんやから」と自分に言い聞かせ、トイレに行ってから席には戻らず、デッキでぼけっと景色を眺めた。

今回、一緒にしまなみ海道を走るSさんからメールが入る。
「福山に着きました」と。
ふたりの待ち合わせ場所は尾道駅で、俺は福山から在来線に乗り換え尾道に向かうが、Sさんは福山からロードバイクで走って行くらしい。
「ほんまに走るん好きな人やな」と思う。
まぁ、俺も同じロード乗りとして、感心してる場合ではなく見習わないといけないですね。

新幹線が福山に着く少し前、輪行バッグを取りに戻る。
隣の女性に「何かとすみませんでした」と一言伝えようかと考えたが、かえって鬱陶しがられるかも知れない。
何も言わず輪行バッグを担いで、またデッキに戻った。そして、すぐに福山駅到着。

「在来線の乗り換えはどこからや?」。
福山駅構内をうろつく。
ここで乗り換えをミスると待ち合わせ時間に着かない。
そんなプレッシャーを感じ、少し焦りつつも案内標識に従って在来線のホームに向かう。
が、案内標識だけでは不安だ。
念のため、駅員に声を掛け教えてもらった。
後々考えると、「この人、初めて電車に乗る人なん?」と思われたかも知れない。

尾道に行く電車に乗るには、3番ホーム。
輪行バッグを担ぎ、ムカムカしながら向かう。
重いし行動が制限されるし、肩紐が食い込んで痛い。
気持ちがどんどん落ち込んでいく中、なんとか3番ホームに着き電車を待っていると、「昨日の大雨の影響で~~」とアナウンスが聞こえた。
「え、まさかダイヤが乱れてんのか?」。
「次の三原行きの電車に乗せてもらわな遅刻やわ…」。
何度目かの不安に駆られたが、定刻に電車は入線してくれた。

狙っていた先頭車両に乗り込み、輪行バッグを置くスペース確保。
「20分ほどしか乗らんけど、とりあえず落ち着けるわ」。
ほっとして周りを見渡すと、乗客0。
貸切状態。
遠慮無く近くの適当な席に座り、ぼけっと窓の外を見ると曇り空。
癖なのか、線路に並んで通る道路の路面状態をチェックする。
「お、乾いてるやん。Sさん、尾道まで快適に走ってそうやな」。

ぼんやり路面を見ていると、尾道駅に到着。
「肩痛い…。ほんま、拷問…」。
輪行バッグを担ぎ、ホームに降りる。
と同時に尾道の駅前が視界に入り、「なんか小綺麗になったよな。尾道らしい味わいが無くなったよなぁ」。
少しがっかりしたが、左手、商店街の方に目を向けると、昭和を感じる町並みも残っており、「尾道に来たなぁ」という気分に浸れた。

つづく

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