(437)しまなみ海道を走り、とびしま海道を走り~BLUE~

ブルーだ。
空や海の色ではなく、気分がブルーだ。
伯方島から次の大島とを結ぶ伯方・大島大橋を渡りながら、「この後にハードな登りが待ち受けてるんや…」と溜め息を吐いた。

大島に着き、島の東側、海沿いの道を走る。
ゴールの今治にはもうすぐ。
心肺にも脚にも十分に余力があり、理想的な展開だ。
しかし、繰り返すが、この後、我々は亀老山展望公園に進む。
きっつい登りが予想される。
クランクを回しながら、もうひとつ溜め息。

と、前を走るSさんが脚を止め、「ちょっと行き過ぎたみたいですね」。
どうやら、少し前に通過した交差点を曲がらなくてはならなかった。
「引き返します」。
SさんがUターンし、クランクを回す。
当然、俺もSさんに続いたわけだが、「あら?」。

おかしい。
Sさんの背中を追い掛けながら、ちょくちょくサイコンに目をやると、完璧におかしい。
速度もケイデンスも表示されていない。
それらを確認せず走るのは、何か素っ気ないようであり、また不安も感じる。
「やばいなぁ。何かの拍子にマグネットの位置がずれたんかな?」。
脚を止めて確認したいが、Sさんはマイペースに前を進んで行く。
「すみませーん」。
クランクを回しながら声を掛けてみた。
無視。
「聞こえてへんな」と、声のボリュームを上げて「すんません!」。
「すんませーん!」。
「はい!」。
今度は気付いてくれた。

「ちょっとアクシデントが。あの、サイコンがおかしいんで調整したいんです」。
マグネットが適した位置にあることを確認し、後輪を浮かしてからクランクを回して…やはりサイコン無反応。
時刻やそれまで走った距離は表示されるが、速度もケイデンスも表示されない。
そのくせ、エラーが表示される項目があり、不愉快極まりない。
予備のマグネットを手にしたSさんも確認してくれたが、「カチカチ鳴ってます。センサーは正常に動いてるようですよ」と。
「じゃあ、表示に問題があるんですかね。電池が切れそうなんですかねぇ。ちょっと前に電池交換した気がするんですけど…」。
「その場合は表示が点滅するはずなので、電池にも問題は無いかと」。
「う~ん」。
原因と対処法が何か無いか2人で知恵を絞り出したいところだが、結果として時間をロスするだけになるかも知れないので、「仕方ないですわ。進みましょう」。

しばらく走り、亀老山展望公園に近付く。
スマートフォンでmapを確認しながら、「次の交差点を左に曲がり、少し進むと亀老山の入口ですね」とSさん。
「あぁ、登りが始まるのか…」。
憂鬱になる。
「では、行きましょうか」。
「はい…」。

「あぁ、この道か…」。
亀老山展望公園の入口に進む道が、既に坂…という時点で、俺は絶望的な気分になった。

つづく

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