(442)しまなみ海道を走り、とびしま海道を走り~朝の今治港へ~

前日にしまなみ海道を走り終え、この日はとびしま海道を走る。
スケジュールについては、前夜、今治のチェーン居酒屋でSさんと話し合った。
「とびしま海道には、まず今治港からフェリーに乗って岡村港に行かなくてはならないんですが、何時のフェリーに乗るかですね」とSさん。
続けて、「ホテルから今治港へは走って10分程度と思います」。
ひとつひとつ決めていき、「朝の9時にSさんが泊まってるホテルの下で待ち合わせて、その後、今治港に向かい、9時半のフェリーに乗りましょう」となった。
まぁ、Sさんがほぼ提案してくれ、俺は「早朝は避けて下さい。苦手なんで」と自分の都合を主張しただけなんですけどね。

「朝早いんは嫌」と言いながらも、俺が起きたのは午前5時。
走る前、体を動かす前にぼんやりする時間を設けたかった。
全然頭に入ってこないが、なんとなくテレビに目をやり、缶コーヒーを飲む。
「よし、リフレッシュ」。
風呂に入ってすっきりした後、またテレビの前でぼんやり。
無駄に時間は過ぎ、「そろそろチェックアウトして、Sさんとこに行かなあかんな」。

ホテルの前で輪行バッグを開け、フレームにホイールをはめる。
と、信号の向こうでロード乗りがこちらを見ている(ように感じた)。
カスクを被ってスラッとした男性。
「あ、Sさん?そっちのホテルで待ち合わせのはずやのに、逆に迎えに来てくれたんやぁ」。
急いでサドルに跨がり、「Sさん、おはようございます」と挨拶するつもりで近付いたところ、ロード乗りはクランクを回し始め、北西の方向に走り出した。
「え?何で?」。
困惑しつつも俺は追い掛けたが、途中でちぎられてしまい、さらに困惑。
「Sさんが俺を置き去りにしたのは何故?」。
この後、今治港でフェリーに乗らなくてはならないに、どうしたものか。
とりあえず電話をかけて反応を伺うことにする。
「あの、どこいます?猛スピードで走ってませんでした?」。
「いえ。今、ホテルにいますよ」。
てことは、「さっきの奴、誰やねん!?」。
「Sさんっぽい格好しやがって、紛らわしいねん」。
「まぁ、視力が悪い俺に問題があるんやけど」。
この時は少しムカムカしたが、後になって考えてみると「知らん奴が必死になって追い掛けてくる…」。
ロード乗りはそう思い、俺に恐怖を感じていたのかも知れない。
申し訳ないです。

待ち合わせ場所であるSさんのホテルに向かい、無事に合流。
そしてすぐにSさんが口を開いた。
「昨日の夜にフェリーのことを調べたら、どうやら定員があるみたいなんです」。
「はい?切符買ったら誰でも乗れるんじゃないんですか?」。
「いえ、1便につき先着10人までらしいんですよ。自転車を積み込んで乗船できるのは」。
俺は「初耳やぞ!」。
慌てる。
9時半のフェリーに乗らなくては、スケジュールに影響を及ぼしてしまう。
既に、17時過ぎ広島駅からの新幹線の切符(特大荷物スペース利用可)は買っているのだ。
「それで、さっきひとりで今治港に行って、フェリーの切符、2人分買っておきました」。
隠れたファインプレーに感謝する俺。
「ただですね…」とSさん。
「さっきも言いましたが、早く乗らないといけないんですよ」。
「先着10名ですもんね」と俺。
「はい。切符を買いに行った時、既にフェリーを待つロード乗りを数人見掛けました。早く今治港に向かいましょう」。

今治駅近くのホテルから北に進む。
城巡りが好きな俺は、15年ほど前に今治城を訪問した際、今治中心部の街並みを目にし、「昭和の商店街やな」という印象を受けた。
「確か、駅前にいつ崩れ落ちてもおかしくないようなボロボロのビルが建ってて、少し歩いたところに昔ながらの小さな商店街があったような」。
そう思い返しながらクランクを回したが、意外なことに、久々に目の当たりにした街並みはけっこう立派。
朝の9時過ぎだからか、閉まっている店がほとんどで人通りも少なく見えたが、商店街の施設自体は記憶と違いすぎる。
「記憶ってええ加減なもんやなぁ」とか、「いやいや、以前、俺が見たのは駅の南側やったんちゃうかな」と考え込んでいると、今治港に着いた。

つづく

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